今や、寿司は世界的に愛される日本食の代表格となりました。
今回は、寿司のルーツやお店でよく使われる寿司用語についてのお話しです。
【現在の握り寿司のルーツである“江戸前寿司”】
「江戸前寿司」というのは、江戸の前、すなわち東京湾(江戸湾)で獲れた魚をネタにした寿司のことを元々は指していました。
当時は冷蔵庫がなく、交通手段も発達していなかったため、ネタの魚は酢や塩で締める、煮てタレに漬け込むなど、日持ちがする工夫がされていました。
江戸の人々の食べ方は、屋台に並んだ握り寿司を手で摘んで立ち食いするというスタイル。
江戸時代の握り寿司は、高級なお店で食べる物ではありませんでした。
●江戸っ子の気の短さから生まれた(?)江戸前寿司
江戸で握り寿司が生まれたのは、江戸っ子(当時江戸に住んでいた人々)の気が短かった事が理由ではないかという説があります。
それまでの寿司は、和歌山県のなれ寿司や富山県のマス寿司のように、魚を酢で締めた後、寿司飯の上に数時間~数日間置かなくてはいけない手間も時間もかかる物でした。
短気な江戸っ子にはその時間が待てず、酢飯を握って新鮮な魚を生のまま乗せて食べるという、手っ取り早い寿司の食べ方を発明したと言われています。
この他にも、当時の江戸の海(東京湾)ではエビやアナゴ、キスなど寿司のネタになる新鮮な魚介類がよく獲れたからという説があります。
【どうしてご飯を「シャリ」って呼ぶの?】
寿司屋では酢飯を「シャリ」と呼びますが、その由来をご存知ですか?
諸説ありますが、今回は代表的な2つをご紹介していきます!
①シャリ=お釈迦様の骨?
このシャリというのは漢字では「舎利」と書きます。
元々は仏教用語で、火葬にされたお釈迦様の骨のこと(仏舎利)を指します。
仏舎利は大変尊い物とされていて、細かく砕かれた骨の形と白さが、米粒に似ている事から例えられたと言われています。
仏舎利には“土にかえり、巡り巡って穀物(五穀)となって人を助ける”という輪廻の教えがあります。
同じように、主食であるお米も尊い物とする思いから、シャリと呼ぶようになったのかもしれませんね。
②サンスクリット語に由来?
サンスクリット語で「米」を「シャリ」、「遺骨」は「シャリーラ」と言うのですが、これが混同して日本に伝わったという説もあります。
「シャリ」の他にも、「涙」(=ワサビ)や「紫」(=しょうゆ)など、寿司用語には独特の言い回しがあるのが面白いですよね。
「ガレージ」や「片思い」など変わったネーミングの物もあるので、ご興味のある方はぜひ調べてみてくださいね!
Text by ろい/食育インストラクター