私たちの食生活に欠かせない「汁物」。
その歴史は古く、鎌倉時代には味噌汁が誕生していたとか。
今回は和の汁物のお話です。
【汁物の3つの構成】
汁物は、吸い地(汁)をベースに、「椀種」「椀づま」「吸い口」の3つで構成されています。
1つめの椀種は、椀の中身の主役を指し、魚介や肉、野菜や乾物など様々なものが使われています。
そのまま加熱するだけではなく、しんじょうや団子などに形を変化させて用いられることも多いです。
2つめの椀づまは、椀種を引き立てるもので、季節の野菜を多く使います。
主役である椀種との味や彩りの相性を考えて決められ、海藻や豆腐、麩なども用いられます。
そして最後の要素である吸い口は、椀を開けた時に立ちのぼる香りや味のアクセントになるものです。
木の芽や柚子、しょうが、ねぎ、粉山椒などがよく使われます。
この3つをまとめるのが吸い地です。
今回はいくつかの吸い地をご紹介します。
【和の吸い地の種類】
・すまし汁
昆布とかつお節でとった一番出汁に、塩と薄口しょうゆで調味した汁物。
・潮汁
素材となる魚介類から出た出汁に塩味をつけた汁物。
・霙(みぞれ)汁
すりおろした大根や蕪などを出汁に加えた汁物。
材料の白さとその様子をみぞれに見立てている。
・吉野汁
すまし汁に水溶きの葛を入れてとろみを加えた汁物。
吉野の名は、葛粉の産地で有名な奈良県吉野地方からつけられている。
・すり流し
材料をすりつぶして裏ごしし、出汁でのばして作った汁物。
主に魚介類や青豆、豆腐などを用いている。
出汁ではなく、味噌汁で伸ばすこともある。
・味噌汁
昆布、かつお節、煮干しなどでとった出汁に味噌を溶いて作った汁物。
・沢煮椀
豚の背肉の千切りと、うどやごぼう、しいたけなどの野菜の千切りを合わせて具材にしたすまし仕立ての汁物。
必ず、獣肉を入れ、材料は全て千切りで、吸い口にこしょうを使うのが特徴。
【覚えておきたい、和の汁物のおもてなし】
日本料理店で椀物(汁物)が出てきた時に、上蓋に水が吹きかけてあったなどという経験はありませんか?
これは、主に夏季に用いられる「霧打ち」という手法で、椀盛りを出すとき、椀の上蓋に茶せんでサッと一振り水を打ち、涼しさを表現するおもてなしの1つです。
普段何気なく食べている汁物にこんなにたくさんの種類があるとは驚きです。
皆さん気になるものはありましたか?
ぜひ、ご家庭で作ってみてくださいね。
Text by まち/食育インストラクター