カレンダーに書かれた秋分の日という言葉を見ると、ふと「そういえば、この時期はお祖母ちゃんがよくおはぎを作ってくれたっけ」なんて記憶が甦ってくる方も少なくないのではないでしょうか?
ところでそんなおはぎ、よく似た和菓子にぼた餅がありますよね。
「いやいや、同じものでしょう?」「いいや、使っている餡が違うから別のものなんだ!」…
人によっていろいろと違う認識をされていたりもするのですが、実際のところはどうなのでしょう?
今回はそんなおはぎ?ぼた餅?についてのお話です。
【おはぎの始まり】
そもそも、なぜお彼岸におはぎを供えるようになったのでしょう?
お彼岸自体は日本固有の行事で、平安時代の頃にはもう行われていたそうです。
当時は仏教の信仰に篤い朝廷や貴族達の行事だったようですが、時代が下るにつれて庶民にも広まっていったようです。
ですが、その時代にはまだおはぎは生まれておらず、本格的に供えるようになったのは江戸時代、という説があります。
お彼岸の歴史の中では比較的新しい存在なんですね!
供えるようになった理由もこれ!という決まった出来事があるわけではないようですが、こちらは庶民が発祥だったようです。
なんでも、小豆には魔除けの効果があると信じられていたので、供えものとしても、ご近所や訪ねてきた親戚に配るのにも重宝されたようです。
確かに、もち米と小豆と砂糖(当時としてはものすごく貴重な食材ですが)があれば、そこまで専門的な技術が無くても大量に作ることができるのがおはぎの利点。
さらに縁起のいい食材をふんだんに使っているとなれば、広まるのも不思議ではありませんね!
【その真相は…!?】
さて、それでは本題の「おはぎとぼた餅の違い」ですが、結論から言ってしまうとこの2つはまったく同じ和菓子です!
それがなぜ二つの呼び方に別れたのかと言えば、前項でも触れたお彼岸を理由とします。
いわく、春のお彼岸では、同じ時期に花を咲かせるぼたんにちなんでぼた餅、秋のお彼岸では萩にちなんでおはぎ、と呼ばれるようになったそうです。
ですので、この二つを漢字で書くと「牡丹餅」「御萩」となります。
ではあんこに違いがある説はデマなのか?というと、実はそうでもありません。
というのも、秋のお彼岸の頃は、小豆は収穫を終えたばかりで、まだ皮が柔らかく、つぶあんでも美味しく頂けます。
一方、春のお彼岸では、冬を越してしまっているので、小豆の皮が固くなってしまっています。
そのため、こしあんにした方が口当たりよく食べられる、ということなのだそうです。
あんこの違いが呼び名の違い、とする説は、これを理由に生まれたものなんですね!
いかがでしたか?
素朴なイメージの漂うおはぎですが、実は季節との関わりは深いもの。
食べるときには「今はおはぎなのかぼた餅なのか」を考えてみるのも面白いですね。
Text by はむこ/食育インストラクター