「出汁を取るのが苦手…」、「毎日出汁を取るのは大変…」そんな方におすすめなのが「水出汁」です。
保存容器に水と材料を入れて冷蔵庫に一晩おくだけでかんたんにおいしい出汁が出来ますよ!
水出汁をご紹介するその前に、おいしさの秘密「うま味」について知りましょう!
【「うま味」は日本人が発見した!?】
出汁がきいている料理をおいしいと感じるのは、「うま味」の働きによります。
うま味は、「甘味」・「酸味」・「塩味」・「苦味」に続く5つめの基本味で、料理のおいしさを生む大切な役割を果たしています。
このうま味成分は、昆布やチーズ、野菜などに多い「グルタミン酸」、かつお節や煮干しなどの魚や肉に多い「イノシン酸」、干ししいたけに多い「グアニル酸」の3つに分かれます。
これらがうま味であることを発見したのは何と日本人!
トマトやチーズ、肉などに共通するおいしさは一体何なのか疑問を抱いたことにより、一人の博士が研究を始めました。
そして、昆布出汁のきいた湯豆腐を食べているとき、そのおいしさが昆布に含まれているのではないかと気づき、グルタミン酸を取り出すことに成功しました。
それをうま味と名づけ、その後「イノシン酸」、「グアニル酸」も日本人が発見しました。
【合わさることでおいしさが何倍にも!?「うま味の相乗効果」とは】
うま味は、グルタミン酸とイノシン酸が合わさることで単体の時より7~8倍にもなると言われています。
これを「うま味の相乗効果」と言い、昔から和洋中の出汁に活かされてきました。
和食では昆布とかつお節を合わせた一番出汁、洋食では玉ねぎ・人参・セロリなどの野菜と牛肉や鶏肉を合わせたフォンやブイヨン、中華では野菜類と鶏肉やほたて貝柱を合わせた湯(タン)があります。
昆布に干し椎茸を合わせた精進出汁はグルタミン酸とグアニル酸を合わせていますが、これもうま味の相乗効果が期待できます。
【お家でかんたん水出汁を作ろう!】
今回は、「昆布出汁」、「昆布・かつお出汁」、「昆布・干し椎茸出汁」の3つの作り方をご紹介します。
麦茶を作るときに使うピッチャーなどを準備しましょう!
①昆布出汁
昆布10gを容器に入れ、水1リットルを注いで冷蔵庫で一晩おいたら完成。
昆布の表面の白い粉はマンニットと呼ばれるうま味成分ですので、拭き取らないようにしましょう。
また、昆布は長時間つけておくと粘りが出てしまうので、味を確かめ昆布を取り出してください。
昆布出汁は強く主張せず、素材そのものの味やうま味を引き出してくれるので、薄味の炊き込みご飯や魚や貝類のすまし汁などに向いています。
②昆布・かつお出汁
昆布10gとかつお節30gを容器に入れ、水1リットルを注いで冷蔵庫で一晩おいたら完成。
この時にかつお節をフライパンなどで煎って香りを出してから水につけるとかつおの香りが引き出されます。
味噌汁や煮物、だし巻き卵などさまざまな料理に活用できます。
③昆布・干ししいたけ出汁
昆布10gと干ししいたけ4~5個を容器に入れ、水1リットルを注いで冷蔵庫で一晩おいたら完成。
ほかの2つの出汁に比べると椎茸の香りが強いので、少量で料理にうま味がプラスされます。
味の濃い炊き込みご飯や筑前煮などの煮物などに向いています。
食材が水にしっかり浸かっていれば冷蔵庫で3~4日は持ちますが、1~2日で使い切るのがベスト。
どうしても残ってしまう場合には、ザルで濾し、ファスナー付きの保存袋に出汁を入れて冷凍するのがおすすめです。
濾した食材は食べやすい大きさに刻んで、佃煮などにすると無駄なく使えますね。
【時間があるときには、一番出汁を取ってみよう☆】
今回は時間が無くてもかんたんに出来る「水出汁」をご紹介しましたが、せっかくなので和食の基本である「一番出汁」の取り方もご紹介します。
<材料>
昆布・・15g
かつお節・・30g
水・・1リットル
<作り方>
- 鍋に汚れを拭き取った昆布と水を入れて10分程度弱火にかける。
(火にかける2~3時間前に昆布を水につけておくと、よりうま味が出ます) - 昆布に爪を立て、爪あとが残ればうま味が出たサイン。
少し火を強め、鍋のまわりが沸々してきたら昆布を取り出す。 - 一度沸騰したら弱火にし、かつお節を一気に入れてすぐに火を止める。
- アクが出てきたら取り除き、かつお節が沈んだらペーパータオルをしいたザルで静かに濾す。
琥珀色に輝く一番出汁の完成です。
水出汁とはまた少し違った味と香りを楽しむことができます。
ポイントさえ押さえれば難しくないので、休みの日など時間がある時に作ってみてはいかがですか?
Text by まち/食育インストラクター