お出汁といえば、昆布を思い浮かべる方も多いと思います。
日本は出汁文化の国なので、かつおに煮干し、しいたけ…多くの出汁がありますが、その中でも代表的な存在のひとつとして数えられているのが昆布ではないでしょうか。
日本の食卓を支えてきた屋台骨ともいえる昆布。
しかし、身近にありすぎるために、意外と知られていないことも…?
今回は「昆布」の秘密に迫ります!
【国内生産できるのは一部だけ!?】
お店で昆布を探してみると、日高・羅臼・利尻などなど、いろいろな種類の昆布があり、食用昆布の種類は15種類にものぼります。
環境の変化によって味や食感に違いが生まれやすいので、同じコンブ属に分類されていても用途が違うといったことは珍しくないのですね。
ちなみに国内での生産は北海道がシェア数トップで、ほぼ独走状態といえるほど(約9割)です。
これは天然の昆布の生育に必要な海水温が関わっていて、北海道近海の寒いエリアでないと、条件を満たすことが出来ないのです。
京都や大阪では昔から昆布を使った料理が作られてきましたが、これは北海道近海で採れた昆布を北前船などの海路で輸送していたためです。
今は国内のどこにいても簡単に手に入る昆布ですが、元々は貴重品だったのですね。
鎌倉時代に昆布の流通航路は主に西日本へ渡るものが中心で、東日本側への航路開拓は江戸時代になってからとされています。
現代でも西日本では昆布出汁が好まれ、東日本ではかつお出汁が好まれる傾向がありますが、昆布の流通が及ぼす影響も大きかったと考えられています。
【難しくない!昆布出汁のすすめ】
「日本食のキモが出汁だっていうのはわかるけど、出汁をとるのって難しそう…料理するたびに出汁を取るのも正直面倒くさいし」と、忙しい現代、自炊をされる方でも、毎日一から出汁をとって料理するのがちょっと手間に感じる瞬間は多々あると思います。
かつお出汁や煮干しの出汁は鮮度が大事なので、無理やり保存しようとしても翌日には魚のえぐみが出てしまって美味しさが損なわれてしまいます。
冷凍もできますが庫内の臭いが移ってしまい、これまた風味が落ちてしまいやすい…多めに作ってストックしておくのが難しいのは困りものですよね。
そんな和食の出汁の中でも比較的扱いやすいのが昆布です。
前日の夜、寝る前にポットに水(1L)と出汁用の昆布(10~15g)を入れてから就寝→起きたら昆布を取り出す。
という水出し方法でも、美味しい昆布出汁が出来上がります☆
使うときは必要な分だけ温めればよく、使わずにあまらせても冷蔵庫保存で2~3日程度なら日持ちするのがメリットです。
あまり長時間漬け込むと昆布からぬめりが出てしまうので、朝起きたときに昆布を取り出すのを忘れないようにするのがポイントです。
朝が苦手だったり、忙しくて無理!という場合は、帰宅してすぐ漬け込んで寝る前に取り出してもOK(2~3時間でも出汁は出ています)。
ライフスタイルと相談して、ご自身に合った方法を選ぶと続けやすいです。
ちなみに、昆布のうま味成分であるグルタミン酸は、かつお出汁や煮干しのイノシン酸、干し椎茸のグアニル酸と合わせると相乗効果を引き出し、味わいが深くなる特徴があります。
イノシン酸はお肉などにも含まれているので、洋風のスープを作る時に昆布出汁をちょい足ししてみたりと、隠し味のような使い方もできますよ☆
日本食に欠かせない昆布。
どの昆布も豊富な食物繊維を含み、お腹の調子を整えてくれます。
カリウムやマグネシウムと言ったミネラルも含まれ、出汁をとるだけではなく食べてもよい効果が期待できるので、さまざまな場面で活用してみてはいかがでしょう。
Text by はむこ/食育インストラクター