6月と言えば、「ジューンブライド(June bride)」の季節ですね。
この言葉は、古くからヨーロッパで伝えられているもので、「6月に結婚する花嫁は幸せになれる」とされています。
このことから日本でも6月に結婚式を挙げるという人もいるのではないでしょうか?
そこで今回は結婚にまつわる縁起のよい食べ物をご紹介します。
【披露宴の食事に使われているかも!?「食材編」】
●えび
えびはゆでると鮮やかな赤色になりますが、この赤色には昔から「高貴で邪気を払う魔よけの効果」があるとされ、縁起のよい食材として使われます。
このほかにも、えびが曲がっている姿を老人に見立て、「腰が曲がるまで末永く幸せに」という長寿を祈る意味も込められています。
●魚
縁起のよい魚として有名なのが「タイ」ですが、ほかにも「ブリ」や「フグ」なども縁起がよいとされています。
それぞれなぜ、縁起のよい魚と言われているのでしょうか。
その理由とは?
<タイ>
「めでたい」という語呂合わせ、そしてえび同様赤い色であることから縁起のよい食べ物とされています。
<ブリ>
関東では成長する順に、「ワカシ」⇒「イナダ」⇒「ワラサ」⇒「ブリ」と名前が変わるため、縁起がよい出世魚として知られています。
富山県では、未来への願いを込めて娘婿に贈るという風習もあるようです。
<フグ>
フグは平安時代の書物に「布久(ふく)」と書かれていたと言われており、昔からフグのことを「ふく」と呼ぶ文化があったようです。
この読み方が「福」を連想させることから縁起物としても有名です。
●ハマグリ
元々の貝の組み合わせでなければ、その貝殻がぴったりと合わないことから仲のよい夫婦をあらわし、一生一人の人と添い遂げるようにという願いが込められています。
●数の子・いくら
縁起物としておせちに入っている数の子ですが、長寿祈願や子孫繁栄の意味をもつことから結婚式にも合った縁起物として知られています。
いくらにも子孫繁栄の意味があり、魔よけになる赤い色をしているので同じ様に縁起物とされています。
●シャンパン
よく乾杯の挨拶のときに使われるシャンパンですが、これにも意味があります。
シャンパンはグラスに注ぐと絶え間なく泡立つことから「絶え間ない幸せ」を、そして泡がはじける音がパチパチと拍手のように聞こえることから「祝福」を連想させます。
上品なゴールドの色をしたシャンパンはお祝いの席にピッタリなお酒です。
【引き出物にピッタリ】
●梅干し
しわしわの見た目から「しわが寄るまで元気に過ごせるように」といった長寿祈願や、「シワができるまで夫婦が一緒に歩んでいけるように」という意味を持ちます。
それだけでなく、梅という漢字が「母なる木」と書くことから子孫繁栄を願う意味も込められています。
●昆布
昔は昆布のことを「広布(ひろめ)」と呼んでおり、お披露目の言葉の由来にもなっています。
この広布は「広める」に通ずることから、縁起のよい席で昆布を贈る習慣が大切にされてきました。
「喜ぶ」という言葉の語呂合わせや、昆布の繁殖力の強さから「子生婦(こんぶ)」という当て字もあります。
●うどん
ほかの麺と比べて長く太いことから、昔から長寿を祈る縁起物としても食べられてきました。
結婚式では「夫婦の絆を長く太いものに」という願いを込めて贈られるようになったと言われています。
【最近増えてきている!?「スイーツ&飲み物編」】
●バウムクーヘン
バウムクーヘンの断面の模様が木の年輪のように見え、これが「繁栄」や「長寿」、「幸せを重ねる」など、縁起のよい言葉を連想させることから、最近では結婚式の贈り物としても人気になっています。
バウムクーヘン発祥の地ドイツでも、結婚式などのお祝いの贈り物として使われているようです。
●ドラジェ
ドラジェとは、アーモンドを砂糖でコーティングしたお菓子のことです。
アーモンドは1本の木からたくさん収穫できることから西欧では子孫繁栄のシンボルとして知られ、イタリアの結婚式などで贈る習慣があります。
「幸福」、「富」、「子孫繁栄」、「健康」、「長寿」をイメージして5粒のドラジェを贈るのが定番のようです。
●金平糖
金平糖は作るのにとても時間のかかるお菓子です。
そのことから、時間をかけて夫婦となる2人の「夫婦円満」を願います。
また、長い時間をかけて見守られ作られることから、まわりの人への感謝を伝える贈り物としても知られています。
●紅茶
縁起のよい色の「赤」であること、そして、中国では昔不老長寿の薬としての飲み物であったことから、長寿につながる縁起物とされています。
紅茶を「幸茶」という表記にし、幸せのおすそ分けという想いも込められています。
【ウエディングケーキにも意味がある!?】
●ウエディングケーキ
「将来を誓い合った2人がひとつのパンを分かち合い、永遠の愛を誓った」というギリシャ神話がもとになったという説がよく知られています。
また、西洋では悪魔は甘いものを嫌うという言い伝えがあり、魔除けの意味を込めて甘いケーキを置いたという説もあります。
イギリスでは18世紀にフルーツケーキにフォンダンやマジパンをかぶせて飾った「ブライドケーキ」が作られるようになります。
このときのケーキはまだ1段でしたが、19世紀半ばイギリスのヴィクトリア女王の時代に3段のケーキが登場しました。
3段にはそれぞれ意味があり、下段は式に出席した人に、中段は当日欠席した人に贈り、上段は結婚1周年か子どもが生まれた日のために保存したとされ、多くの人と幸せを分かち合うという願いが込められています。
●クロカンブッシュ
クロカンブッシュとは小さなシューを飴やフォンダンではりつけながら円錐状に積みかさね、飴菓子などで飾りつけたお菓子です。
シューはフランス語で「キャベツ」を意味し、ヨーロッパでは赤ちゃんがキャベツ畑で生まれると伝えられていることから、子孫繁栄と豊穣の願いが込められています。
結婚をする人、それをお祝いする人それぞれの健康や長寿を願う縁起物。
何気なく食べていた披露宴の食事や引き出物にもたくさんの意味が込められているのですね。
Text by まち/食育インストラクター