日本では、古くからお祝いや節目のときに願いを込めたり、縁起を担いだりするために、タイやエビ、小豆、昆布などの縁起のよい食材が料理に使われます。
幸運を願ったり、縁起を担ぐのは私たち日本人だけでなく、世界共通のこと。
ただ、縁起のよい食材は国によってさまざまです。
今回は世界各地の縁起のよい食べ物をご紹介します。
【世界各地の縁起のよい食べ物】
●麺料理
縁起のよい麺と言えば、日本では年越しに食べる「年越しそば」が有名ですね。
これは、細く長く作られることから「延命長寿」、ほかの麺類より切れやすいことから1年間の苦労や災厄を切り捨て、新しい年に持ち越さないという願いを込めて食べるようになったと考えられています。
そして、麺類を縁起物として食べるのは日本だけではなく、アジア諸国では同じように長寿を願って長い麺を食べることが伝統になっています。
中国には、手で細長い1本の麺に伸ばした「一根麺」という料理があり、細くとも長い人生が送れるようにと、おめでたい席でふるまわれたりするようです。
●豚肉料理
豚は富と繁栄の象徴とされ、世界各地で縁起のよい動物として知られています。
これは、豚が前にしか進まないことや、子どもをたくさん産むということからと言われています。
日本で豚の貯金箱などを身近に置いて運気をアップさせたりするように、ほかの国々でも小物などを置いたり、プレゼントして運気を上げることが多いようですが、食べて縁起をかつぐ国もあります。
特に、1年の始まりである正月に豚肉を食べる国が多く、ブラジルでは、正月に子豚を丸焼きにしたものが正月のお祝い料理として食べられるようです。
豚肉を食べられない人は、豚を形どった食べ物でもよいとされています。
●ザクロ
ひとつの実のなかに果肉に包まれた種がたくさん入っていることから、生命力や子孫繁栄によい食べ物として世界中で知られています。
特にトルコでは、ザクロをモチーフにしたタイルや雑貨、コスメなどさまざまな方面で愛されているようです。
日本でも同じように縁起の食べ物とされ、「吉祥果」とも呼ばれています。
●レンズ豆
その形が「硬貨」に似ていることから金運を呼び込むとされているレンズ豆。
それだけでなく、煮ると水分を吸収して膨らむことから富が増えるとも言われています。
レンズ豆を縁起のよい食べ物としている国は、イタリアやハンガリーなどのヨーロッパの国々です。
同じように豆を縁起の良い食べ物としている国があります。
それは、アメリカです。
アメリカ南部では、ささげ豆の見た目が1セントコインに似ていることから幸運の食べ物として食べられています。
●丸いフルーツ
「硬貨」のような丸い形から新年に丸い形のフルーツを食べる国も多くみられます。
フィリピンなどでは幸運とされる「13個」、ヨーロッパやアメリカでは1年の月の数と同じ「12個」を飾ったり食べたりして1年がよい年になるよう願います。
また、スペインやポルトガルでは、ブドウでよい年になるか占うという習慣があります。
新年を告げる鐘の音に合わせて1年に見立てた12粒のブドウを1粒ずつ食べ、その中に酸っぱいブドウがあれば、その月は気をつけた方がよいと言われています。
例えば、「10粒目のブドウが酸っぱければ10月の運気が不安定なので気をつけた方がよい」といったように占います。
●ガレット・デ・ロワ
縁起のよいお菓子と言われて思い浮かべるのは、結婚式に欠かせない、ウエディングケーキやクロカンブッシュなどではないでしょうか?
でも、それ以外にも縁起のよいお菓子があるのを知っていますか?
そのひとつが、ガレット・デ・ロワです。
ガレット・デ・ロワは、パイ生地にアーモンドクリームを入れて焼いたもので、新年を祝い、1年の幸運を占うフランスの焼き菓子です。
パイの中にフェーヴと呼ばれる陶器の人形が入っており、切り分けたときにそれが当たった人は、祝福され、1年中幸運が続くとされています。
縁起のよい食べ物で幸せや健康を願うのは、世界共通なのですね。
Text by まち/食育インストラクター