暖かい日が増えてきましたね!
冬の寒さで縮こまっていた体もそろそろ活発に動かしたい季節です。
食卓にも春の恵みが並ぶころではないでしょうか。
今回は、「春の皿には苦味を盛れ」ということわざをご紹介します。
【ことわざの意味】
ここに出てくる苦味は、春の七草や山菜といった春野菜のこと。
春の七草は、早春にいち早く芽吹くことから邪気を払うといわれ、無病息災を祈って年初めの1月7日に七草粥としても食べられ、セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロの7種類です。
山菜は野山に自生する植物で、ふきのとうやたらの芽、山ウドなどがあります。
春の皿には苦味を盛れとは、“春の食事には春の食材を食べましょう”という意味が込められています。
冬眠する動物は、寒くなる冬までに栄養を溜め込んで冬眠に備えます。
人間も同じように、冬の寒さから身を守るために脂肪を溜め込むようになります。
そしてだんだんと暖かくなり、春に近づくと今度は代謝を活発にして、冬の間に体に溜まった脂肪や毒素などの老廃物を出します。
この冬の体から春の体への移行を助けるのが、山菜などの春野菜というわけです。
【熊も目覚める春の味覚】
冬眠から目覚めた熊が一番初めに口にするのは「ふきのとう」といわれます。
本能的に熊もふきのとうの苦みを体内に取り入れることで、眠っていた体を目覚めさせているのでしょう。
ふきのとうなどの山菜には、特に苦味やえぐみが多く含まれています。
この苦味やえぐみはポリフェノール類などによるもので、新陳代謝を高めて体から老廃物を出し、体を目覚めさせてくれます。
また、山菜だけでなく、春が旬の菜の花や筍などにも独特の苦味やえぐみが含まれますね。
苦味といえば、危険なシグナルとして私たちの脳には伝わります。
今でこそ春野菜に含まれる苦味やえぐみは、ポリフェノールなどによるものと分かっていますが、昔の人々は苦味を持つ山菜や春野菜が体に良いということを動物が食す姿や実際に食し、知恵を身につけていったのではないでしょうか。
現代では、ハウス、保存、流通の発達や気候の変動で季節の野菜がぼやけた感があり、本来の季節でなくても食べることができてしまいますが、旬の食材を食べ、季節を楽しむことはこれから先も続けていきたいですね。
Text by ざわちゃん/食育インストラクター