歳時記を知ろう①

今回は6月の歳時記をご紹介します。

【歳時記とは】

当初、歳時記(歳事記)は太陰太陽暦(旧暦)を基にした年中行事や四季の事物をまとめた物を指しましたが、江戸時代以降になると、俳句や俳諧の季語を分類し、解説等を加えた書物の事を指すようになりました。
現在では、「食の歳時記」や「暮らしの歳時記」「季節の歳時記」といった様々な形で行事や四季を身近に楽しみ、感じてもらえるよう出版されています。
※太陰太陽暦にも様々な計算方法があり、その中で太陽暦に変わる直前まで使用されていた「天保暦」を一般的には「旧暦」という事が多いです。

【水無月(みなづき)】

水無月は6月の別名です。
水の無い月と書きますが、「みなづき」の「な」は連体助詞と呼ばれるもので、「~の」にあたるため、「水の月」という意味となります。
諸説ありますが、田んぼに水を入れ込む時期とも重なるので、そのように名付けられたと考えられています。
※旧暦の6月は梅雨明け後(現在の7月頃)にあたるので、「水が枯れる月」という説も存在します。

【6月の行事など】※2017の旧暦をもとに日にちを出しています。

1日:衣がえ
中国の宮中では、旧暦の4月1日と10月1日に夏冬の服を入れ替える習慣がありました。
日本へは平安時代に伝わったとされます。
明治時代に新暦が使われるようになり、現在の6月1日と10月1日に夏冬の服を衣がえするようになりました。

5日:芒種(ぼうしゅ)
稲などの穂が出る植物の種を蒔く頃
芒種の「ぼう」は稲の穂先にある突起の「芒(のぎ)」に由来する。

11日:入梅(にゅうばい)
梅雨入りの頃
栗花落(ついり)とも呼ばれ、この頃咲く、栗の花が雨で散る様からつけられたそう。

19日:食育の日(しょくいくのひ)
平成17年に「食育基本法」が施行され、翌年の平成18年6月より、毎年6月を「食育月間」と定めました。
また、毎月19日を「食育の日」に制定しています。
毎月19日は家族で食べ物について考えてみるといいですね。

21日:夏至(げし)
1年で最も日が長く、夜が短い日
ここから徐々に暑さを増し、本格的な夏になっていきます。

30日:夏越しの祓(なごしのはらえ)
新年から半年分の厄を落とす日
多くの神社で茅草(ちぐさ)作りの輪をくぐる行事が行われます。
「水無月の夏越しの祓をする人は千歳の命延ぶというなり」と唱えながら、八の字を書くように3回茅草の輪をくぐって穢れを祓います。


【味覚】

梅、さくらんぼ、ビワ、みょうが、らっきょう、新生姜、夏みかん
あいなめ、鮎、すずき、鱧、するめいか、かんぱち など

【和菓子:水無月】

和菓子には、6月の別名と同じ「水無月」というものがあります。
夏越しの祓の際にいただくもので、三角形のういろうの上に邪気を払うとされる食べ物、小豆を散らしたお菓子です。
その昔、宮中では氷を氷室に貯蔵していましたが、夏越しの祓の日に取り出して疫病除けとして臣下に振る舞っていたそうです。
和菓子水無月はその時の出来事にあやかり、氷に見立てたういろうと貯蔵の際に付いた土を小豆で表現した季節感や再現性の高いお菓子に仕上がりました。

皆さんが知っている行事、知らない行事があったかと思いますが、これらは昔から日本で行われてきたものです。
現代は季節を感じにくくなったと言われる事が多くなりましたが、時には四季を感じてゆったりとした気分に浸るのもいいものです。

Text by さゆり/食育インストラクター

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