歳時記を知ろう②

今回は7月の歳時記をご紹介します。

【歳時記とは】

当初、歳時記(歳事記)は太陰太陽暦(旧暦)を基にした年中行事や四季の事物をまとめた物を指しましたが、江戸時代以降になると、俳句や俳諧の季語を分類し、解説等を加えた書物の事を指すようになりました。
現在では、「食の歳時記」や「暮らしの歳時記」「季節の歳時記」といった様々な形で行事や四季を身近に楽しみ、感じてもらえるよう出版されています。
※太陰太陽暦にも様々な計算方法があり、その中で太陽暦に変わる直前まで使用されていた「天保暦」を一般的には「旧暦」という事が多いようです。

【文月(ふみづき)】

文月は7月の別名。
諸説ありますが、物事の上達を願う行事、「七夕」にちなんだ「文被月(ふみひらづき)」語源説が有力です。
その他、稲穂が膨らむ時期なので「穂含月(ほふみづき)」や「含月(ふくみづき)」・「穂見月(ほみづき)」が転じたとする説もあります。

【7月の行事など】※2017の旧暦を基に日にちを出しています。

2日:半夏生(はんげしょう/はんげしょうず)
夏至から数えて11日目にあたる雑節で、1年の後半が始まります。
この頃を目安に、芒種から続いた田植えが一段落します。
半夏生の名は、この時期に生えるサトイモ科ハンゲ属の烏柄杓(からすびしゃく)に由来します。
烏柄杓は別名を半夏といい、漢方薬の材料になっています。
この日にタコやうどんを食べる地域もあります。
※雑節…二十四節気・七十二候以外に季節を感じられるようにと作られた暦日

7日:小暑(しょうしょ)
梅雨明けし、いよいよ夏本番となる時期。
小暑から立秋(8/7日頃)前日までが暑中見舞い、立秋以降は残暑見舞いを書きます。

7日:七夕(笹の節句)
五節句のひとつ。
旧暦の7月は現在の8月中頃にあたるので、旧暦の気候に合わせ8月に七夕を行う地域もあります。

13~16日:盂蘭盆会(うらぼんえ)
お盆の正式名称。
仏教では先祖の霊が7月15日に帰ってくるとされ、準備をして家に迎え、供養と平穏無事に過ごせる事への感謝をする日
殺生を禁じる仏教の教えにのっとり、穀類・野菜中心の精進料理をいただきます
本来7月の行事ですが、旧暦の7月は現在の8月頃にあたるため、8月に行う地域も多いです。
夏の風物詩でもある盆踊りの基は盂蘭盆会で招いた霊をあの世へ送るための踊りでした。

19日:夏土用入り
土用は季節毎に存在し、立秋前18日間が夏土用です。
「土用丑の日に“う”のつく物を食べると夏バテしない。」というゲン担ぎの意味を込め、昔から夏土用丑の日に「うどん」や「梅干し」、「瓜(うり)」という字が付く「西瓜(すいか)」や「胡瓜(きゅうり)」、「南瓜(かぼちゃ)」等を食べる風習があり、その他にも精が付くものを「土用卵」や「土用しじみ」、「土用餅」と呼び、食べていました。
また、夏土用丑の日(今年は7/25)といえば鰻ですが、旬は晩秋から初冬にかけて。
諸説ありますが、江戸時代、夏場に売行きが落ちる鰻屋に平賀源内が頼まれ、「土用丑の日に“う”のつく鰻を食べよう。」と考えたのが始まりとされています。
これが大当たりし、現在も「土用丑の日=鰻」という習慣が残っているのです。

23日:大暑(たいしょ)
ジットリと湿気が多い日本の夏の中で、最も暑い時期。


 【味覚】

にがうり(ゴーヤ)、トマト、胡瓜、オクラ、モロヘイヤ、冬瓜、枝豆、ピーマン
しじみ、コチ、鰈、うに、穴子、たこ、トビウオ など

【七夕の食べ物】

七夕は、別名「笹の節句」や「星まつり」と呼ばれ、織姫の五色の織り糸や天の川に見立てた素麺をいただきます
七夕に素麵を食べる習慣は織姫彦星物語とは別に、「7月7日に亡くなった子供の霊が悪霊となって病を流行らせた為、好物だった索餅(さくべい)と呼ばれる縄状の菓子を供え、怒りを鎮めた」とされる古代中国の逸話がもとになったともいわれています。
この索餅が素麺のルーツとされている事、麦の収穫を兼ねている事も、七夕に素麺を食べる理由のひとつです。

まだまだ暑さが続きますが、様々な行事を楽しんで夏を乗り切りましょう。

Text by さゆり/食育インストラクター