PFCバランスの名前が変わります!・・・と言われても、そもそもPFCって何??と思われる方がほとんどですよね。
今回は知っておくと為になる、栄養バランスについてのお話です。
【PFCとは】
三大栄養素と呼ばれる私達の体を動かすのに必要なエネルギーの基となる、たんぱく質(protein)・脂質(fat)・炭水化物(carbohydrate)の頭文字を取ったものがPFCです。
たんぱく質を頂点とする二等辺三角形を描いたときに、自分の食生活がこの二等辺三角形に近い程、理想的なエネルギー比率になるといわれています。
ちょっと難しくなってしまいましたが、簡単にいえば「バランスのとれた食事の目安として活用すると、健康的な生活を送る一つの指標になるもの」といった感じです。
大事なのは「量」よりも「質」というわけです。
【どのように決められた基準なの?】
このPFCバランスの基は1980年(昭和55年)頃の日本人の食生活が基準となっています。
当時の日本は米を中心に、魚や肉の主菜は少なめで野菜やきのこ・海藻を多く使った多様な副菜を食べるという食事が基本でした。
何気なく日常的に食べていた食事ですが、この「日本型食生活」は実はPFCのバランスがとても理想的なバランスだったのです。
【日本の食生活が乱れてきている】
今から30年ほど前の日本人が食べていた「日本型食生活」は肥満や心臓病・糖尿病などの発症が少なく、世界的にも高く評価されていました。
ですが、「飽食の時代」といわれている現代では、たんぱく質や脂質が多量に含まれている食事が中心。
糖分の高い飲み物を飲み、野菜などはあまり食べない生活の方が増えているのではないでしょうか。
糖尿病や心臓病・高血圧などは現代の私達の健康を脅かす病気となってきています。
【バランス良く】
今の生活を一から見直すというのはなかなか大変なことですが、この機会に少しずつ食生活を見直してみてはいかがでしょうか。
自分だけでなく、子や孫の代の食生活や健康を見直すことにつながります。
PFCバランスを考えての食事は難しいと思いますが、
肉・魚・卵・大豆製品(たんぱく質)=1
ご飯(炭水化物)=2
野菜・きのこ・海藻(ビタミン・ミネラル)=3
の割合で食べてみましょう。
これを1回の食事に置き換えると・・・
「たんぱく質=60~80g、ごはん=150g、野菜類=120g以上」が目安となります。
肉や魚などは体を作るのに大切な栄養素をたくさん含みますが、多量に摂取すると同時に脂質もたくさん摂取することになります。
野菜やきのこ・海藻などは低カロリーなものが多く、食物繊維やカリウムなども豊富に含むのでお通じの改善や高血圧の予防にも一役買ってくれます。
【“PFCバランス”から“エネルギー産生栄養素バランス”へ】
上記まではPFCバランスとしてお話してきましたが、2015年度の日本人の食事摂取基準から「エネルギー産生栄養素バランス」という名前に変わります。
PFCバランスは、このバランスで食事を摂ると最もエネルギーに変わりやすく、太りにくいというものなのですが、この言葉ではなかなか伝わりにくく、様々な人に知っていただくために、「エネルギー産生栄養素バランス」となりました。
しかし、「まだ、分かりにくい。」という方もいると思います。つまりこれは、このバランスで食事をすると、人間の代謝が起こりやすく、からだ自体の老化を遅らせ、疲れにくい体になるということなのです。
また、今までの比率から下記のように変わります。
たんぱく質 9~20% → 13~20%
脂質 20~25% → 20~30%
炭水化物 50~70% → 50~65%(アルコールも含む)
炭水化物の上限が少し減り、脂質の上限が少し増えました。
日本人の食事摂取基準は5年に一度見直されています。
5年ごとの見直しで変わらない場合もありますが、今回のように少し変化することもありますので、興味がある方は参考にしてみてください。
名前や多少の数字の変動はありますが、基本的な考え方などは変わりません。
大切なことは、「量より質」。バランスです。偏ったものからばかり摂取するのではなく、バランス良く自分に合った量を摂るということなのです。
最近では市販のお弁当や食品にも色々な栄養に関する表示がされていたり、エネルギー産生栄養素バランスに基づいたお弁当を作って販売する取り組みを行っている企業なども出てきていますので、普段の食生活にぜひ役立ててみてくださいね。
(詳しくは厚生労働省のサイト等にも記載されていますので、ご参照ください。)
Text by さゆり/食育インストラクター