旅館や宴会の席などでいただく日本料理は、季節感が折り込まれ、
材料や盛り付け、器にもこだわり、
五感を使って楽しむように献立が立てられています。
そんな日本料理の流れについて、お話したいと思います。
【意外と知らない?献立の名前】
宴席などでは、順をおってテーブルに料理が配ばれます。
一般的な献立の品数は奇数にするのが原則で、主に7品、9品でまとめられています。
(ご飯、香の物、水菓子は除きます)
よく目にするけれど、いまいち料理の中身が分からない!
なんて方も多いのではないでしょうか?
ここでは通常よく用いられる献立の名前と、
その中身についてご紹介します。
- 先付
料理ができるまでのつなぎとして、酒とともにだす酒肴(しゅこう)です。 - 椀、吸物
汁物のことで、季節に合わせてさりげなく供されますが、
出汁のひき方、盛り付け、味、香りなど
料理人の腕前がこれでわかると言われているほど、重要な料理でもあります。 - 向付
魚介類の新鮮なおいしさを生、もしくは生に近い状態で提供するものです。
あしらいと醤油を添えます。ただ切り身にするだけではなく、
隠し包丁をしたり昆布締めにしたりなど、手間をかけたものが多いようです。
- 八寸
季節の山海の幸を少しずつ取り合わせたものです。 - 焼物
主に旬の魚介類や肉類などを焼き、あしらいを添えたものです。 - 煮物、鉢物
季節の海、山、里の素材を、持ち味を生かして煮たものです。 - 揚物
油で揚げて、油の風味とコクをつけたものです。
- 蒸物
煮物の代わりとして用いられることもあります。 - 酢の物、酢肴(すざかな)、小鉢
酸味をきかせたものや、和え物、浸し物などの
さっぱりとした味わいのものなので、
前後の料理の流れに起伏を持たせることができます。
献立の終盤だけでなく、前半や中盤でも出されることがあります。 - 食事(ご飯、香の物)
酒菜が終われば、食事としてご飯と香の物がだされます。
白ご飯の代わりに炊き込みご飯、麺類、雑炊、粥、すし、
茶漬けなどが出されることもあります。
香の物は季節のものが盛り合わせになっています。 - 水菓子
季節の果物やゼリー寄せなどのデザートです。 - 甘味
懐石の影響を受け、和菓子に抹茶を添えて終わることもあります。
みなさんいかがでしたでしょうか?
日本料理では旬だけでなく、春から初夏にかけて出回る初鰹のような季節を先取りする「走り」、落ち鮎のような翌年まで食べられなくなる直前の「名残」などがあります。
同じものでも走り、旬、名残と三度の季節感を楽しみます。
ぜひ日本料理を通じて、季節を感じてみてはいかがでしょうか?
Text by ナナちゃん/食育インストラクター