知っておきたい和食の基本。「五法」とは何だろう?

2013年12月にユネスコ無形文化遺産に登録された和食は、季節に応じた食材、米や魚、野菜を中心としたもので、健康や美容にも良い理想的な「食」として世界中から注目を集めています。
しかし、最近では日本人の「和食」離れが増えていているそうです。
今一度和食について考えてみましょう。

【和食に大切な「五」を知ろう!】

和食は食材そのものの味を生かし、味や香りだけでなく見た目の美しさや季節感も大切にします。
それだけではなく、もてなしの気持ちを演出するなど、体だけでなく心も大切にする料理です。
昔から奇数を大事にしていた日本人。
和食に大切なものの中に、「五法」「五味」「五色」「五適」「五覚」があります。
これらは、中国の陰陽五行説の考え方が日本で独自にアレンジされて定着したものと言われています。

■五法
生、煮る、焼く、蒸す、揚げると言った5つの調理法のこと。
生は刺身、煮るは煮物、焼くは焼物、蒸すは蒸し物、揚げるは揚げ物を意味する。
基本的な会席料理にはこれら5つの料理が必ず並んでいる。

■五味
酸味、苦味、甘味、塩味、辛味の5つの味を意味する。
和食で使われる調味料の基本「さ・し・す・せ・そ」である、「砂糖・塩・酢・しょうゆ・みそ」の5種類が、五味にあたる。

■五色
白、黒、黄、赤、青(緑)の5つの色を意味する。
白は清潔感、黒は引きしめ、黄と赤は食欲増進、青(緑)は安心感を表す色。
これらの色を彩りよく合わせることで、美味しそうに、そして季節感を感じることが出来る様、工夫されている。
盛りつけるお椀や器、添える葉や花などの色彩を考えることが季節感を出すことにつながる。


■五適
温かいものは温かく、冷たいものは冷たい状態で召し上がって頂く「適温」、お客様の年齢や性別に合った素材を使うことをさす「適材」、多すぎず、少なすぎず、適当な量である「適量」、技巧にこり過ぎず、適度に手を加える「適技」、和食器やテーブル、部屋の雰囲気など「もてなし」の心を持つことの「適心」の5つのこと。

■五覚
いわゆる「五感」のことで、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚をフル活用しておいしい料理を味わいましょうという意味。

これらの「五」は家庭料理にとり入れることで、味のバラエティーが増え、見た目も良くなります。
全てを考えて料理を作るのは大変だと思いますが、まずは「五味」「五色」を意識することから始めてみてはいかがでしょうか?

Text by まち/食育インストラクター