食事をする時に欠かせない「箸」ですが、箸食の文化が広まったのは、奈良時代と言われています。
では、いつどの様にして箸は誕生し、日常的に使われるようになったのでしょうか?
【箸の歴史】
日本で最初に箸が登場したのは、弥生時代の末期と言われています。
当時の箸は、細く削った1本の竹をピンセットのように折り曲げたもので、神様への祭器として使用されていました。
この時代はまだ「手食」で、現在の様に2本の箸が使われ始めたのは、推古天皇が中国に遣隋使を送った頃。
中国王朝で2本の箸で食事をしている光景をみて、この作法を日本に伝えたとされています。
そこから、聖徳太子が箸食の制度を供宴儀式で採用し、日本で食事に箸を使う習慣が始まりました。
一般的に箸食の文化が広まったのは奈良時代で、その頃の箸は唐箸(からはし)と呼ばれる竹で出来たものでした。
割り箸が登場したのは、江戸時代末期に酒樽の端材を用いたのが最初で、一般的に普及したのは明治時代と言われています。
【箸の種類】
箸には、両口箸で神事や祝儀などの「晴の日」に使う、「ハレの箸」と、片口箸で家庭用、個人用として日常的に使われる「ケの箸」があります。
■柳箸(やなぎばし)
両端が細く、中央が少し太くなっている「両口箸」で、壊れたり折れたりといった縁起の悪いことがない様、折れにくい柳で作られた「ハレの箸」です。
柳は、春一番に芽を出す「めでたい」縁起の良い木で「家内喜(やなぎ)箸」とも呼ばれています。
この箸の長さは、男女、年齢に関係なく、八寸(約24cm)とされています。
■利休箸(りきゅうばし)
その名の通り、千利休によって考案されたと言われている「両口箸」で、両端が細く、中央がやや膨らんでいます。
主に、杉や檜、松などで作られていますが、赤みのある杉で作られた赤杉の箸は、最も上質でおもてなしにピッタリとされており、「ハレの箸」として使われています。
■天削箸(てんそげばし)
割り箸の天(持ち手側)を斜めに削った片口の割り箸です。
料理を挟む部分だけが面取り加工されおり、天を削ぐのは、箸の上下を逆さまに使わないという意味がこめられています。
竹製、木製など素材は色々ありますが、杉の木で作られたものが最も高級とされており、高級和食店や料亭などで主に使われています。
■元禄箸(げんろくばし)
箸の四つの角を削って滑らかにしてある片口の箸です。
割り箸の中で最も一般的なものです。
【自分に合ったサイズの箸を知ろう!】
「食べ物がつかみにくい」「キレイに箸が持てない」。
その原因は、もしかしたら自分の手に合ったお箸を使っていないからかもしれません。
一般的に自分に合ったお箸のサイズは、親指と人差し指を直角に広げ、その両指を結んだ長さの1.5倍がちょうど良い箸の長さだと言われています。
今使っているお箸を確認し、あまりにもサイズが違っていたら思い切って新しいものに変えてみるのも良いかもしれません。
普段、何気なく使っているお箸にも色々な意味が込められているのですね。
Text by まち/食育インストラクター