6月は「食育月間」!食育の効果的な取り組みに欠かせない“食育推進基本計画”を深掘り!

皆さんは、“食育推進基本計画”をご存知ですか?
これは、食育基本法に基づき、食育の推進に関する基本的な方針や目標について定めているものです。
令和3年3月に食育推進会議で“第4次食育推進基本計画”が決定され、令和3年度から令和7年度までのおおむね5年間を対象とし、食育の推進に取り組むべき新たな重点事項などが規定されました。
今回は、「食育月間」である6月にこそ学びたい“食育推進基本計画”のお話です。

【そもそも、どうして6月が「食育月間」なの?】

食育基本法が成立した月が2005年6月であることや、学校生活や社会生活などが落ち着き、進学や就職・転勤などの影響が少ないという理由から、6月が食育月間となりました。

【第4次になってどこが変わった?】

第4次では、国民の健康や食を取り巻く環境の変化、社会のデジタル化など、食育をめぐる状況を踏まえて以下の3つを重点事項としました。
SDGs(持続可能な開発目標)の観点から食育を総合的かつ計画的に推進していきます。

 1.生涯を通じた心身の健康を支える食育の推進

●健康寿命の延伸
社会における高齢化の進行のなかで、健康寿命を延ばすことが国民的な課題です。
健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されずに生活できる期間のことを言います。
日ごろの食への意識が生涯の健康に繋がるため、普段から栄養バランスに配慮した食事をとり、適正体重を維持するよう心がけることが大切です。
また、子どものころから箸使いに気をつける、ゆっくりよく噛んで食べる、朝ごはんを食べる、といった食に関する正しい習慣を身につけることは、生涯に渡り健全な食生活を送るための基礎となります。

●自然に健康になれる食環境づくり
食育アプリなどのデジタルツールや、ナッジ(人々がよりよい選択を自発的に取れるように手助けする方法)を活用するなど、健康や食に関して無関心な人たちも自然に健康になれる食環境づくりを推進します。


2.持続可能な食を支える食育の推進
国民が健全な食生活を送るためには、その基盤として農林水産業や食品産業が持続可能であることが不可欠です。
しかし地球規模の気候変動にともなう異常気象の増加などで、それが脅かされる事態となっています。
そのため「持続可能な食を支える食育の推進」では、3つの視点から成り立つ3つの「わ」を支える食育を推進します。

●食と環境の調和:環境の環(わ)
食生活が自然の恩恵の上に成り立つことを意識し、食の循環が自然環境へ与える影響に配慮して、SDGsの目標12「つくる責任・つかう責任」にも積極的に関わっていくことが求められています。
そのため、有機農業に対する理解と増進、食品ロスの削減など、自然環境と調和のとれた食料生産とその消費に配慮した食育を推進します。

●農林水産業や農山漁村を支える多様な主体とのつながりの深化:人の輪(わ)
食料の生産から消費等に至るまでの食の循環は、多くの人々のさまざまな活動に支えられています。
そのことに対して、感謝や理解を深めることが大切です。
一方で、ライフスタイルなどの変化により、日頃の食事を通じて畑や生産者を思い浮かべる機会が減っています。
そのため、農林漁業体験や地産地消の推進など、食の循環を担う多様な人や動物などとの繋がりを広げ、深める食育を推進します。

●日本の伝統的な和食文化の保護・継承:和食文化の和(わ)
和食文化を守り伝えることは、食生活の文化的な豊かさを将来に渡って支える上で重要です。
そのためには、地域活性化や食料自給率を向上させるなど、持続可能な食に貢献することが期待されています。
また、和食は栄養バランスに優れ、長寿国である日本の食事は世界的にも注目されています。
しかしその一方で、グローバル化などにより、和食文化が十分に受け継がれず、その特色が失われつつあります。
そのためにも、伝統的な地域の多様な和食文化を次世代に継承するための食育を推進します。

3.「新たな日常」やデジタル化に対応した食育の推進
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止が求められるなか、デジタル技術を有効活用して効果的な情報発信を行うなど、「新たな日常」の中で高まる食への関心をいかした食育を推進します。

●デジタル技術の有効活用
オンラインの料理教室やイベントの開催、動画配信など、非接触型の食育を展開したり、個人がいつでも手軽に使える食育アプリや、デジタル化への対応が困難な高齢者などへ配慮した情報を提供します。

●食に関する意識の向上
コロナ禍の「新たな日常」を過ごすうえで、家庭で料理や食事をすることを、食生活を見つめ直す機会として捉え、栄養バランス・食文化・食品ロスなど、食に関する意識を高めるよう食育を推進します。

こうやって見ると、第4次食育推進基本計画は現代の世相を反映した内容になっていることがよく分かりますね☆
食育推進基本計画は都道府県だけでなく、各市町村でも作成している所が増えています。(平成 19年(2007年)度には4.1%でしたが、令和元年度には87.5%に増加しています。)
皆さんもお住まいの地域でどんな取り組みが行われているか、ぜひ調べてみてくださいね。

Text byろい/食育インストラクター