4月8日は「花まつり」です。
あまり聞きなじみのない言葉かも知れませんが、皆さんは花まつりをご存知ですか?
今回は、花まつりと、この日に欠かせない甘茶についてご紹介します。
【「花まつり」とは?】
「灌仏会(かんぶつえ)」、「仏生会(ぶっしょうえ)」などとも呼ばれる、お釈迦様の誕生日をお祝いする行事です。
一般的にはお釈迦様の誕生日とされる4月8日に行われますが、旧暦や陰暦の関係で5月8日に行われているところもあるようです。
この日は、色とりどりの花を使ってお釈迦様が生まれた場所である「ルンビニの花園」を表した花御堂(はなみどう)が作られます。
このことから明治時代に花まつりと呼ばれるようになりました。
花御堂に祭られたお釈迦様の像(誕生仏像)に甘茶をかけてお祝いします。
これはお釈迦様が生まれたときに九頭の龍が現れ、天から甘露の雨を降らせたという言い伝えに由来しています。
奈良時代では、甘茶ではなく5つの香料を加えた「五香水」が使われていましたが、江戸時代に入り、甘茶をかける風習が広まりました。
花まつりでもらった甘茶を飲むと無病息災に、目につけると目がよくなると言われています。
【「白い象」を置く理由とは?】
お寺によっては白い象の置物が置かれていることもあります。
これは、仏教発祥のインドでは、白い象がとても神聖な生き物として扱われていること。
そして、お釈迦様の母である摩耶夫人が、白い象が体の中に入る夢を見て、お釈迦様を懐妊したと言われていることからです。
花まつりでは、子どもたちが華やかな衣装をまとい、白い象の置物を引っ張る「稚児行列」を行うところもあります。
これには、お釈迦様の誕生を祝うだけでなく、子どもの健やかな成長を願う意味も込められています。
【砂糖の1000倍も甘い!?甘茶の秘密】
「アマチャ」はユキノシタ科のヤマアジサイの変種です。
このアマチャの若い葉を蒸してもみ、乾燥させたものを「甘茶」と言い、お茶として飲むのはもちろんのこと、天然の甘味料や生薬、また化粧品や入浴剤まで、さまざまなものに用いられています。
甘茶の甘さは、甘茶に含まれる甘味成分「フィロズルチン」、「イソフィロズルチン」によるもので、砂糖の約1000倍甘いとも言われています。
名前が似ているもので甘茶蔓(あまちゃづる)茶がありますが、これはウリ科の植物で甘茶と別物です。(甘茶のような甘味があることからこの名前がつけられたようです。)
【甘茶のうれしい効果】
甘茶はとても甘いのですが、カロリーがゼロなので糖尿病の方の食事にも用いられているそうです。
また、「甘茶メタノールエキス」が含まれ、花粉などのアレルギー性疾患や、アトピー性皮膚炎に効果が期待できます。
ほかにも、抗酸化作用によるアンチエイジング効果や、抗菌作用による歯周病、口臭予防などにも効果があると言われています。
スーパーでは取り扱いがほとんどありませんが、漢方薬局や通販などで購入することが可能です。
ひと口飲むと、砂糖が入っているような甘味を感じますが、飲む際には注意が必要です。
「甘いの大好き!」と言って濃く煮出してしまうと、おう吐や吐き気などの中毒症状を起こすおそれがあります。
茶葉やお湯の量は購入したときの袋の表示を参考にし、煮出しすぎには気をつけてください。
【「甘茶」だけではない、花まつりの食べ物】
花まつりには甘茶だけではなく、精進料理がふるまわれることもあります。
そこでよく登場するのが、春の味覚でもある、「たけのこ」、「そら豆」、「うど」です。
たけのこは、別名「物影蔬(ぶつえいそ)」と呼ばれています。
これは、土の中から空に向かって成長する姿が誕生仏像に似ていることからです。
そら豆は、さやの先が天に向かって伸びるため、「仏豆」とも呼ばれています。
うどは漢字で「独活」と書き、お釈迦様が誕生したときに言ったとされる「天上天下唯我独尊」に通じることから、花まつりの精進料理によく用いられます。
4月上旬になると、花まつりのイベントを行っているお寺も数多くあります。
春は、桜をはじめとするさまざまな花が楽しめる季節でもありますので、散歩を楽しみつつ、近所のお寺に参拝してみてはいかがでしょう。
Text byまち/食育インストラクター