近年、ライフスタイルや家族形態、社会環境の多様化により、食事のバランスもくずれてきています。
それにより、子どもたちの食を取り巻く環境も大きく変化しています。
こ食をはじめ、貧困も大きな問題となっており、現在、日本では子どもの7人に1人が貧困状態にあるといわれています。
貧困に直面している子どもの存在が社会的に認知されるに従い、子どもの貧困問題を支援する働きが活発になっています。
そんな中、今、「子ども食堂」が注目されています。
【子ども食堂とは】
地域住民や自治体が主体となり、無料または安価で栄養のある食事や温かな団らんを提供するコミュニティの場。
経済的理由や家庭の事情により、共食が難しい子どもに共食の場を確保し、また地域コミュニティの中で、子どもが安心して過ごせる場所を提供することを目的としています。
場所によっては、子どもだけでなく、いつも一人で食事をしている高齢者や、子育て中で忙しいママさんなど大人も利用することができる所も多くあります。
【はじまりは…】
東京都大田区にある八百屋さんの店主が、家庭で食事を十分に食べることができない子どもたちがいることを知り、2012年夏に「こども食堂」をオープンしました。
東京都豊島区の子ども支援をしていた団体のメンバーがその活動を取り入れ、あっという間に日本中に活動の輪が広がり、現在「子ども食堂」は少なくとも4960か所確認されています。(「NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ」調べ)
貧しさは見た目だけで判断しにくいのが現状です。
貧困はお金だけの問題ではなく、人との交流が減って孤立してしまったり、仕事で忙しくなり、親子の会話が減ってしまったり、自己肯定感の低下により、自暴自棄になったり…。
愛情が足りていない子どもや大人は多くいます。
だからこそ、どんな子もいつでも来られる居場所を提供したかったそうです。
【子ども食堂のメリット&デメリット】
<メリット>
●手作りで温かい食事が安価で食べられる
成長期の子どもたちの心身の健康につながります。
●共食できる
家に帰ってひとりきりで食べる「孤食」が増えている今、アットホームな雰囲気の中で食事ができる場はとても大切です。
●しつけの場となる
配膳やあと片付けなどを手伝うことで、家でも自然と手伝いができるようになったそうです。
●地域のコミュニティがうまれる
仕事を忙しくしていると、地域のコミュニケーションも疎遠になりがちです。
子ども食堂に来る子どもたちが、いろいろな学年との関係性を深めたり、一緒に来た親同士の絆もうまれやすいです。
<デメリット>
●開催する場所の確保
ボランティアベースで行われている「子ども食堂」において、場所を借りるにも費用がかかるため、大きな課題です。
●働くスタッフの確保
食事提供などお手伝いしてくれるのは、ほとんどがボランティア。
家庭の事情や環境の変化により、持続的に確保することは難しいといえます。
●運営費の確保
一食あたり無料~300円程度にしているため、食材などはフードバンクや地域住民の寄付などでまかなっています。
活動資金については運営している人々の持ち出しで準備することも。
「子ども食堂」を継続的に運営していくためには、多くの物資支援やボランティアスタッフ、寄付など地域住民をはじめとする多くの支援者がとても重要です。
地域のみんなで子どもたちを支える思いのもと、行政とともに社会が一体化して、地域の特性をいかした取り組みができていければよいですね。
いかがでしたか?
子どもの貧困は深刻ですが、「子ども食堂」を通じて、親もまた一人で頑張りすぎないで、たまには息抜きをしたり、誰かに相談できたり、甘えたりできるコミュニティの場があれば、精神的な支えになり、深刻な事態を回避することにつながるかもしれません。
社会に隠れた貧困の子どもを助ける取り組みとして、「子ども食堂」はとても大切な場となっています。
Text byくまこ/食育インストラクター