大人にも“食育”は必要?

教育現場で耳にすることが多い‟食育”ですが、実は子どもだけでなく、あらゆる世代に必要とされています。
今回は、早速今日から実践できる!“大人の食育”についてのお話です。

【どうして大人にも食育が必要なの?】

食育とは、さまざまな経験を通じて「食」に関する知識と、バランスのよい「食」を選択する力を身につけ、健全な食生活を実践できる力を育むことです。
食べることは生涯に渡って続く基本的な営みなので、子どもはもちろん、大人になってからも「食育」は重要です。

【“大人の食育”を実践してみよう!】

今回は、“大人の食育”を実践するうえで気をつけたいポイントをご紹介します。

●野菜や果物をとる
厚生労働省が策定した健康日本21では、1日に350g以上の野菜を摂取することを目標としています。
しかし、実際には国民1人1日の平均的な野菜摂取量は280gほどしかありません。(平成30年「国民健康・栄養調査」参照)
年齢階級別では、男女ともに20~40代で少ないという結果が出ています。
また、野菜に加え、果物の摂取量不足も問題視されています。
最近ではサプリメントや栄養補助食品で栄養素を補給している方も多いようです。
しかし、それらはあくまで「補助」なので、基本は食べ物からしっかり摂ることが大切になります。
野菜や果物には、抗酸化ビタミンや食物繊維が多く含まれています。
免疫力を高め、生活習慣病の予防に役立つので、積極的に摂るようにしましょう。

●体重の変化
年齢を重ねると代謝が下がり、食べている量や食事内容はあまり変わっていないのに若いころよりも太りやすくなります…。
カロリーを抑えようとして単純に食事量を減らすと、満足感が得られず長続きしません。
食事量は減らさずカロリーを抑えるには、野菜などを使った副菜や汁物を組み合わせるのがおすすめです。
品数が増えると、見ためや味も楽しめて満足感が高まりますよ☆
“中年太り”を避けるために、まずは自分の適正体重を知り、食事を見直してみることから始めましょう
※適正体重は、『身長(m)×身長(m)×22』で簡単に計算することができます。


●夕食の時間と朝食の欠食
大人になると、学生時代よりも食事時間が不規則になりがちです。
その結果、夜遅い時間に食事を摂る人が増加傾向にあります。
食べてからすぐ寝ると体はその後ほとんど動かさないので、摂取した分のエネルギーは消費されることなく身についてしまいます。
また、夜遅い食事を重いものにしてしまうと胃腸に負担がかかり、朝起きたら胃もたれがするなんてことも…。
そうなると、翌日の朝食を抜くことにも繋がりかねません。
朝食は体が活動するためのエネルギー源になる食事なので、欠かさず食べるようにしましょう
遅い時間の食事は、胃腸に負担をかけない低脂肪で消化のよいものを食べるのがおすすめです。
コンビニなどで買ったり、外食をする場合は、エネルギーなどが記載された栄養成分表示を参考にして選んでみましょう☆

●塩分量
厚生労働省が定めた「日本人の食事摂取基準」(2020年版)では、食塩摂取量の1日あたりの目標量は成人男性が7.5g未満、女性が6.5g未満に引き下げられました。
また、高血圧の予防・治療のためには、男女とも1日6g未満にすることが望ましいと言われています。
食塩の摂り過ぎは、高血圧をはじめとする生活習慣病に深く関わるので注意しましょう。
食材の選び方や調理法の工夫で、塩分控えめでもおいしい食事を作ることができますよ☆
少しずつ薄味に慣れていき、素材のそのものの味をいかした料理を楽しみましょう。

●早食い
1回の食事のそしゃく回数と食事時間を調べた研究によると、戦前の食事は1420回噛んで約22分かけていたのに対し、現代の食事は620回で約11分と、噛む回数・食事時間ともに半分ほどに減っています
また、早食いの習慣がある人ほど肥満度が高いというデータもあります。
よく噛んで食べると、食事が少量でも満腹のサインが脳に伝わりやすく食欲が抑えられます
そのほか、脳の活性化や、唾液の分泌が増えて消化を助けるなどの効果も得られます。
まさに、いいことづくめですね☆
やわらかいものや、忙しくても手軽に食べられるものばかりでは、噛む回数も食事時間も増えません。
“根菜などの噛み応えのある食材をとり入れる”、“よく噛んでゆっくり味わって食べる”ということを意識しましょう。

 いかがでしたか?
大人の食育は、“食”に対する意識を高めることから始まります。
皆さんも1日3回の食事を大切にし、食育を実践してみてくださいね☆

Text by ろい/食育インストラクター