いよいよ長い夏休みの始まりです。
毎年のように出る宿題の中で、自由研究を何にしようか悩む子どもたちは多いのではないでしょうか。
そこで、夏休みの自由研究に役立つようなレシピをご紹介します。
今回は古代の人が食べていた「蘇(そ)」を作ってみましょう。
【蘇(そ)って何?】
蘇は、古代の日本や中国といった近隣の国などで作られていたといわれる乳を材料とした食べ物です。
今から1400~1000年以上昔(飛鳥時代~平安時代)にはすでにあったようです。
ただし、蘇がどのように作られ、どんな形をしていたかというきちんとした文献がないので、チーズやバターのような固形だったとする説や、ヨーグルトや練乳のようなトロミのある液体状だったのではないかという説まで実にさまざまです。
でも、「乳を煮詰めて作ったおいしい食べ物」という部分はさまざまな説に共通していて、平安時代に出来た「延喜式(えんぎしき)」という法律の本には「乳一斗から一升の蘇が得られる」と読み解ける記述があります。
これは、「原料となる乳から1/10の蘇が得られる」ということなので、乳を煮詰め、そのあと、腐らないように乾燥させて固形状にしたのではとする説が有力です。
また蘇は食べ物としてだけでなく、薬や神様への供物としての役割もあったようです。
たくさんの乳を長時間煮詰め、わずかな量しか出来ないため、高貴な身分の人々の間で広まりました。
高貴な身分の人々も、日常的にたくさん食べられたのではなく、体調を崩したときや、誰かをもてなすといったときにしか口に出来ない食べ物だったと推測されます。
その証拠として、平安時代中期の権力者である藤原道長が晩年体調を崩した際に、蘇に蜜を合わせた「蘇蜜煎(蘇蜜煮など)」というものを服用した記録が残されています。
それでは、実際に蘇を作ってみましょう。
【調理のときに気を付けたいこと】
食中毒は一年中起こっていますが、特に蒸し暑い夏の時期は細菌性食中毒に注意が必要です。
調理をするときはしっかりと手を洗い、作業スペースの衛生面にも気を付けましょう。
「出来上がったらすぐ食べる」を基本とし、あとで食べる場合などは、きれいな保存容器や袋に入れ、保管場所の温度や衛生管理にも気を付けましょうね。
【古代食 蘇(そ)】
ほんのりとした乳製品の甘みが素朴な一品です。
今回は、現在多くの方が再現している、しっかりとしたかたさとなるレシピにしています。
<材料(作りやすい分量)> 調理時間:90分~(冷やす時間は除く)
牛乳・・1リットル
はちみつ・塩・黒こしょうなど・・お好みで
<作り方>
- きれいなフライパンに牛乳を入れて火にかけ、混ぜながら加熱する。
- 沸騰しそうになったら、中火弱~弱火にし、引き続き混ぜながら水分を飛ばすように加熱する。
- 1時間ほど加熱すると段々牛乳がかたまり始めるので、ゴムベラなどで鍋底やフチに沿って混ぜる。
- 混ぜているときに鍋底が見えてきたら、絶えず混ぜながらさらに水分を飛ばす。
- 水分が飛び、牛乳がひとかたまりにまとまるようになってきたら火を止め、きれいな保存容器に入れて粗熱を取り、乾燥しないようにラップをして冷蔵庫でひと晩おく。
- (5)を好みの大きさに切り、お好みではちみつを少し垂らしてどうぞ。
<ポイント>
- 出来上がりの目安量は170gくらいです。
- 入れ物に移すときにオーブンペーパーを敷いておくと、取り出しやすいです。
- 加熱の火加減によって、白っぽかったり、こうばしい色になったりします。
- 白っぽい仕上がりは時間がかかりますが、好みで調整して下さい。
【牛乳の栄養】
牛乳は、体を維持するのに大切なカルシウムや良質なたんぱく質が豊富に含まれています。
牛乳のカルシウムは、ほかの食品よりも体内での吸収率がよいのが特徴です。
カルシウムの吸収を高めるには、ビタミンDを一緒に摂ると効果的で、さらに運動をすることで、骨への吸着率がよくなりますので適度な運動を日課にするのもおすすめです。
いかがでしたか。
最初は味つけをせずにそのまま食べて、古代人気分を味わいましょう。
そのあと、さまざまな調味料などで味を変化させてみると楽しいですね。
蘇の歴史や、作り方、食べた感想などをまとめたら立派な自由研究です!
家族にも食べてもらって感想を聞けば、自由研究の幅も広がりますよ。
挑戦するときは、かなり熱くなるので、お父さんやお母さんに手伝ってもらい、水分補給や休憩を忘れずに!
Text byさゆり/食育インストラクター