皆さんは子どものころに「よく噛んでゆっくり食べましょう」と言われたことはありませんか?
また、『ながら食べ』をしないよう、“食事中はテレビをつけない”というご家庭も多かったのでは?
何気なくやっていたその行動、実はとても大事なのです!
今回は、ついついやってしまいがちな『早食い』や『ながら食べ』についてのお話しです!
【現代人は早食い傾向!】
1回の食事の咀しゃく回数と食事時間を調べた報告によると、ハンバーグやスパゲッティなどを好む現代人の1回の食事で噛む回数は、約620回。
それに対し、玄米おこわや乾燥した木の実などを食べていた弥生時代は、約4000回!
ちなみに戦前は約1420回と言われていて、ここ数十年でも半分以下になっています。
また、1回の食事時間も22分から現在は11分と、軟食や早食いの傾向があります。
【最近の『ながら食べ』】
ごはんを食べているときにふと手持ち無沙汰を感じてスマホを見る、幼少のころからの習慣でごはんのときはテレビをつけるなど、“〇〇しながら食事をとる”ことを「ながら食べ」と言います。
「ながら食べ」をしてしまう多くの方は習慣になっているため、やめにくいという現状があります。
最近では、“テレビや携帯電話、パソコンを見ながら”だけでなく、“イヤホンをして音楽を聞きながら”という方も増えてきています。
【早食い、ながら食べがもたらす影響とは】
早食いやながら食べを続けると、一体どうなるのでしょうか?
■早食い
・健康に対する影響が出る
早食いは体重の増加や、血糖値が急激な上昇をまねくと言われています。
食事をすると、血液中のブドウ糖の濃度が上昇し、満腹中枢がそれに反応して、満腹感を知らせますが、ブドウ糖の濃度が上昇するには、ある程度の時間が必要です。
そのため早食いの場合、満腹感が得られる前に多くの食事をとってしまいがちになり、摂取エネルギー量が多くなるため肥満に繋がると考えられています。
・虫歯のリスクが高まる
早食いで噛む回数が少なくなると、唾液の分泌量は減少します。
唾液には口内の細菌を洗い流す自浄作用がありますが、分泌量が少なくなるとこの作用は弱まり、虫歯や歯周病、口臭などのリスクが高まります。
・胃腸に負担がかかる
唾液には、デンプンを分解して消化吸収を助けるアミラーゼという消化酵素が含まれています。
唾液の分泌量が減少することでこの働きが弱くなると、胃腸は消化吸収をするために、より多く働かなければいけなくなります。
■ながら食べ
・食事の楽しさが損なわれてしまう
食事に集中することで、食材本来の味や香りを楽しむことができます。
しかし、「ながら食べ」では、これらの感覚が鈍り、食事の楽しさが半減してしまいます。
食事は五感を使って楽しむべき時間ですが、ながら食べをするとその楽しみが半減します。
・姿勢が悪くなる
スマホを見たり、本を読みながら食事をすると、姿勢が悪くなりがちです。
悪い姿勢は、しっかり噛めない、消化器官に負担がかかるなどの影響があります。
・衛生面でのリスクがある
多くの方が、自宅では帰宅時に手を洗い、外食する際はお手拭きを使うなどをして、食事をする前に手の除菌をするはずです。
しかし、食事の前に手を綺麗にすることはあっても、スマホまで除菌する方は少ないのではないでしょうか?
スマホは屋外でさまざまな菌が付着しているため、食事中の使用は衛生面でのリスクが高まります。
【『早食い』や『ながら食べ』を防ぐポイント】
- 食事をする時間をしっかりと確保し、会話を楽しみながら食事をする(目安は30分以上)
- よく噛む
- ひと口食べたら、一度箸をおいてゆっくり味わう
- ひと口の量を少なくする
- 料理の際は、食材は大きく厚めに切り、噛みごたえがある状態にする
(きのこやこんにゃくなど食物繊維を多く含む食材を使うことも効果的です)
いかがでしたか?
生きていく上で欠かせない“食事“の満足感を向上させるため、『早食い』や『ながら食べ』はできる限り避け、日々の食事を楽しみましょう!
Text by ろい/食育インストラクター