郷土料理から地域の食文化を知ろう!~長崎県 ヒカド~

皆さんは『長崎県の郷土料理』と言うと、何をイメージされますか?
今回は、意外と知られていない?長崎県の郷土料理のひとつ、「ヒカド」をご紹介します。

【「ヒカド」ってどんな料理?】

「ヒカド」は、材料をすべてさいの目に切ったシチュー風の煮物で、1600年代の初期から長崎に伝わる郷土料理です。
長崎は開港をきっかけに、ポルトガルやスペインから宣教師や貿易関係者が来日し、牛肉や豚肉を使ったシチューが伝わりました。
当時は牛肉や豚肉を手に入れることが難しく、長崎では地域で採れる野菜、鶏肉、魚などを使った独自の作り方が確立されていきました。
「ヒカド」という名称は、ポルトガル語で細かく刻むという意味の「Picado(ピカド)」が由来です。
以前は、ヒカドの特徴でもあるとろみはパンでつけていましたが、禁教令によりパンが手に入らなくなったため、さつま芋を使うようになりました。
長崎はもともと砂糖が手に入りやすかったため、甘めの味つけを好む地域です。
さつま芋の甘味ととろみは地元の人々に受け入れられ、長崎の郷土料理として定着しました。
いわば“和風シチュー”のような「ヒカド」は、現在長崎県では寒い季節に体が温まる料理としてよく食べられているそうです。


【実際に「ヒカド」を作ってみよう!】

<材料(4人分)> 調理時間:45分
ぶり・・1切れ(80g)
塩・・少々
鶏肉・・1/2枚(100g)
さつま芋・・大1/2本(150g)
大根・・80g
人参・・40g
干し椎茸・・2枚(4g)
小ねぎ(小口切り)・・2本分
出汁・・3カップ
干ししいたけの戻し汁・・1/2カップ
A酒・・大さじ1
A塩・・小さじ1/4
A薄口しょうゆ・・小さじ1

<作り方>

  1. ぶりは皮を取り除き、1.5cm角に切る。
    塩を振り、5分ほどおいたらザルにのせ、熱湯をかける。
  2. 鶏肉は1.5cm角に切る。
  3. 大根・人参は1cm角に切る。
    さつま芋は2/3量は皮つきのまま1.5cm角に、残りは皮をむいて10分ほど水にさらしてアクを抜く。
  4. 干ししいたけは水で戻し、石づきをとって1cm角に切る。(※戻し汁も使うので捨てないでください。)
  5. 鍋に出汁・干ししいたけの戻し汁を入れ、(2)・(3)の大根・人参・(4)を加えて火にかける。煮立ったらときどきアクを取り除きながら15分ほど煮、(1)・(3)の角切りのさつま芋を加えてさらに5分ほど煮る。
  6. 具材がやわらかくなったら合わせたAを入れ、味を調える。
    (3)の残りのさつま芋をすりおろして加え、全体をサッとかき混ぜる。
    さつま芋に火が通り、全体にとろみがついたら火を止める。
  7. 器に(6)を盛り、小ねぎを散らす。

肉も魚も野菜も摂れる、栄養満点の1品です☆
シンプルな味つけで、食材のうま味や甘味が引き出されています。

【「ヒカド」にはどんな栄養があるの?】

今回は、ヒカドに欠かせない『さつま芋』に多く含まれる栄養素に注目してみました!

ビタミンC
皮膚や細胞のコラーゲンの合成に不可欠な栄養素
です。
コラーゲンと言うと肌の健康に効果的なイメージが強いですが、皮膚だけでなく骨や血管など、体のありとあらゆる場所で細胞と細胞を繋げる働きをしています。
そのほか、ビタミンCは鉄の吸収促進や免疫力の強化など、さまざまな役割を担っています。

 ●ビタミンE
強い抗酸化作用を持つ脂溶性のビタミン
で、体内の脂質の酸化を防ぎます。
また、動脈硬化や血栓の予防、血圧の低下、LDL(悪玉)コレステロールの減少、細胞膜を健全に保つなどの働きがあり、加齢によって発症しやすい疾患の予防に役立つことから、“若返りのビタミン”とも呼ばれます。

 ●カリウム
カリウムは、私たちの体内ではほとんどが細胞内液に存在しています。
細胞外液に存在するナトリウムとバランスをとりながら、細胞を正常に保ったり、血圧を調整したりして、常に一定したよい体内の状態(恒常性)を維持するのに役立ち、高血圧やむくみを予防します。
また、カリウムの摂取量の増加が、脳卒中の予防や骨密度アップに繋がると考えられています。

いかがでしたか?
今回はぶりと鶏肉を使ったヒカドをご紹介しましたが、ほかの魚や肉に変えてもおいしくいただけます。
皆さんもぜひ、お好みの食材でヒカドを作ってみてくださいね☆

Text by ろい/食育インストラクター