郷土料理から地域の食文化を知ろう!~大阪府 小田巻き蒸し~

皆さんは『大阪府の郷土料理』と言うと、何をイメージされますか?
お好み焼きや串カツを連想する方も多いと思いますが、実はそのほかにも魅力的な郷土料理があるのです!
今回は、意外と知られていない?食べ応え満点の「小田巻き蒸し」をご紹介します。

【「小田巻き蒸し」ってどんな料理?】

小田巻き蒸しは大阪府大阪市船場発祥の郷土料理で、うどんが入った大きめの茶碗蒸しのことです。
うどんのほか、鶏肉や海老、かまぼこ、しいたけ、銀杏などお好みの具材を入れ、味を調えたうどん用の出汁を合わせた卵液を張って蒸します。
「小田巻き蒸し」という名前は、器の底で渦を巻くうどんの様子が、紡いだ麻糸を玉のように巻いた「苧環(おだまき)」に似ていることからつけられたといわれています。
また、おいしくて何度も食べたくなることと、糸巻きを何度も巻く様子にもかけているとされています。
ちなみに、「小田巻き」という文字は、あて字でつけられました。
かつて卵が高級品だった時代、卵をふんだんに使った小田巻き蒸しは、船場の商家などでハレの日のご馳走料理として親しまれていました。
戦前は地域のうどん店などのメニューに載っていた小田巻き蒸しですが、食生活の変化の影響もあり、戦後その数は少なくなっていきました。
現在では家庭料理として作られることが多いようです。


【実際に「小田巻き蒸し」を作ってみよう!】

今回は、一般的に手に入りやすい食材を使って作る「小田巻き蒸し」をご紹介します。

<材料(2人分)> 調理時間:35分
うどん(冷凍)・・1玉
鶏もも肉・・40g
しょうゆ・・小さじ1/4
ゆで海老・・2尾
しいたけ・・1個
かまぼこ(紅)・・2切れ
三つ葉・・適量
卵・・2個
A出汁・・200ml
A薄口しょうゆ・・大さじ1・1/2
Aみりん・・大さじ1/2

<作り方>

  1. うどんは流水で解凍し、ほぐしておく。
  2. 鶏肉はひと口大に切り、しょうゆを絡めておく。
    しいたけは軸を切り落とし、半分のそぎ切りにする。
    三つ葉は2cm長さに切る。
  3. ボウルに卵を割り入れて溶きほぐし、Aを加えてしっかり混ぜ合わせ、目の細かいザルで漉す。
  4. 大きめの耐熱容器に(1)を入れ、その上に海老・(2)の具材をのせる。
    (3)の卵液をひたひたになるくらいまで静かに注ぎ入れる。
  5. 十分に蒸気の上がった蒸し器に(4)を入れ、フタをして強火で4~5分蒸す。
  6. 卵液の表面にうっすらと白い膜が張ったら、フタをずらして弱火で15~20分蒸す。
  7. 竹串で刺して、澄んだスープが出てくれば出来上がり。

100℃以上で蒸すと「す」が入ってしまうので、蒸し器のフタを少しずらし、蒸気の逃げ道を作るようにするのがポイントです。

【小田巻き蒸しにはどんな栄養があるの?】

今回は、小田巻き蒸しに欠かせない卵やうどんなどの食材を例に挙げ、それぞれの栄養を見てみましょう!

 ●
ビタミンCと食物繊維以外の栄養素をバランスよく含み、「完全栄養食品」と呼ばれています。
卵黄に含まれるレシチンは、脳の機能改善の効果が期待できます。

●うどん
うどんは消化がよく、胃腸の負担を抑えるので、体調が優れないときにも食べやすい食品です。
豊富に含まれる炭水化物は、脳や体のエネルギー源となります。

そのほか、鶏もも肉は良質なたんぱく質をはじめ、骨の形成を促すビタミンK、皮膚や粘膜を健康に保つナイアシンを多く含んでいます。
また、海老は神経機能を正常に保つビタミンB12のほか、アミノ酸の一種であるタウリンが含まれ、血圧やコレステロールを減らし、肝機能を高めてくれます。

出来立て熱々の「小田巻き蒸し」は体が温まり、寒い時期にぴったりの1品です!
皆さんもお好みの食材を入れて「小田巻き蒸し」を作ってみてはいかがでしょうか?

Text by ろい/食育インストラクター