給食レシピにチャレンジ!「けんちん汁」

皆さんは給食と聞いて何を思い出しますか?
今回は私が通っていた学校で登場すると嬉しいメニューの「けんちん汁」のお話です。

【郷土料理や行事食を給食から学ぶ】

何気なく食べていた給食ですが、季節の節目に食べる行事食や地元ならではの味を伝える郷土料理が献立に取り入れられています。
今回ご紹介するけんちん汁も郷土料理ですが、皆さんは給食から学んだ郷土料理や行事食はありますか?

【けんちん汁とは?】

けんちん汁は神奈川県・鎌倉市の郷土料理で、大根・人参 里芋などの根菜とこんにゃく、豆腐などを入れたすまし汁です。(地域によってはみそが使われる場合もあるようです)
所説ありますが、神奈川県鎌倉市にある「建長寺」の精進料理が由来しています。
お寺の名前から「建長寺汁」と呼ばれていたのがなまり、「けんちん汁」になったという説と、中国の精進料理である普茶(ふちゃ)料理の一種である巻繊(けんちゃん)が日本語になったという説があります。

【豚汁との違い】

見た目も材料も似ている豚汁とけんちん汁ですが、どう違うのでしょうか?

●けんちん汁
けんちん汁は精進料理が由来なので、植物性の食材を使い出汁にも昆布や椎茸が使われ、味つけにしょうゆを使うのが一般的です。

●豚汁
豚汁とは、ご存じの方が多いと思いますが豚肉入りの汁物です。
一緒に煮込む野菜は根菜が多く、味つけにはみそを使うのが一般的です。
豚汁は地域によって呼ばれ方が異なり「ぶたじる」と呼ぶ地域もあるそうです。

【けんちん汁の栄養】

けんちん汁の魅力は何といってもたくさんの野菜が入っているところですよね。
今回使う材料の栄養を少しみてみましょう。

●人参
抗酸化作用があり老化を予防するβカロテン。
体内でビタミンAに変換され、免疫力を強化

●豆腐
消化によく、肉や魚に匹敵する良質なたんぱく質。
骨粗しょう症予防に期待できるイソフラボン。
肥満予防や免疫力向上のサポニン。

●ごぼう
腸内環境を整える食物繊維

●里芋
中性脂肪を減らして動脈硬化を防ぐ働きがあるガラクタンや体内の余分な塩分を体外に排出するカリウム。


【けんちん汁】

<材料(2人分)> 調理時間:40分
木綿豆腐・・1/3丁
大根・・2㎝
人参・・2㎝
ごぼう・・5㎝
里芋・・4個
長ねぎ・・・1/4本
こんにゃく・・1/4枚
干ししいたけ・・2枚
ごま油・・小さじ1
出汁(戻し汁+水)・・2カップ
Aみりん・・大さじ1
Aしょうゆ・・大さじ1
A塩・・小さじ1/4

<下ごしらえ>

干ししいたけは水で戻しておく。戻した水は出汁として使う

<作り方>

  1. 豆腐はペーパータオルで包み、水気を切り、ひと口大に切る。
  2. 人参・大根は皮をむき、いちょう切りにする。
  3. ごぼう・長ねぎはななめ薄切りにする。
  4. 里芋は皮をむき、半月切りにする。
  5. こんにゃくはスプーンでひと口大にちぎり、塩(分量外:小さじ1/4)を振ってもみ込み、水で洗う。
  6. 干ししいたけは軽くしぼり、薄く切る。
  7. 鍋に水・(5)を入れ熱し、煮立ったら5分ほどゆでて水気を切る。
  8. 鍋にごま油を入れ、豆腐・里芋以外の材料を入れて油が回るまで炒める。
  9. 出汁を加え沸いたらアクを取り除き、ふたをして弱火で10分煮る。
  10. A・里芋を入れてやわらかくなったら豆腐を入れる。

昔は何気なく食べていた給食ですが、けんちん汁の由来や栄養などは大人になってからでないと気づかないことですよね。
自分で作ってみると、また違う発見があるかもしれません。
野菜たっぷりで栄養満点なけんちん汁をぜひ作ってみて下さい!

Text by あお/食育インストラクター