日本は地域ごとに多彩な風土があり、郷土料理もさまざまです。
今回は青森県と岩手県から、ひっつみ汁をご紹介します
【「ひっつみ」とはどんな食べ物?】
ひっつみとは主に小麦粉などを水で練り、食べやすい大きさにちぎって煮た料理です。
ちぎることを「ひっ摘む」と言っていたことから、のちに「ひっつみ」に転じたのだとか。
すいとん・はっと・みみ・ちぎり…など、全国に類似の調理法がありますが、形などに差異があり、厳密には異なる郷土料理となります。
ひっつみは主に青森県南部から岩手県北部の地域で食べられていました。
2つの県にまたがっているのは、この地域は昔、南部藩が治めていた領地だったからです。
農耕技術や品種改良が進んだ現代になるまで、冷涼な気候のこの地域は冷害が起こりやすく、十分な米を収穫できない年も珍しくありません。
そのため、小麦やそば・雑穀なども作っていて、米の代わりの貴重な主食として食べていました。
ひっつみは独特のコシがあり、ややかための食感が特徴です。
これは生地を作ったあと、寝かせる工程を入れることが理由です。
やわらかなすいとんとは少し違った仕上がりで、食べ応えがあります。
ひっつみは水でこねて野菜などと一緒に煮込むという手軽な作り方から、多くの家庭で作られていたそうです。
リアス式海岸で知られる三陸海岸の近くでは、海の幸をひっつみ汁に入れることもあるそうです。
ごく身近で獲れる食材をうまく利用して暮らしていたことがうかがえますね。
今回は鶏肉とごぼうをメインにしたレシピをご紹介しますが、鶏肉を海の幸に変えてアレンジしてみてもおいしく食べられますよ!
【ひっつみ汁】
<材料> 調理時間:30分(生地を寝かせる時間は除く)
小麦粉・・200g
水・・130g
鶏もも肉・・1枚
ごぼう・・1/2本
だいこん・・7~8cmぐらい
長ねぎ・・1本
しいたけ・・4個
出汁・・4カップ
A酒・・大さじ4
Aみりん・・大さじ2
Aしょうゆ・・大さじ3
A塩・・小さじ1/2
<作り方>
- ボウルに小麦粉をふるい入れ、水を加えてよくこねる。
耳たぶくらいのかたさになったらひとまとめにし、ラップをして冷蔵庫で1時間寝かせる。 - 鶏肉はひと口大の大きさに切る。
ごぼうはささがきにし、水に3~5分ほどさらしてザルに上げる。
だいこんは5mm厚のいちょう切りにする。
長ねぎはななめに切る。しいたけは軸を取って薄切りにする。 - 鍋に出汁・(2)のだいこん・ごぼうを入れて火にかける。
沸騰したら鶏肉を入れ、肉に火が通るまで弱火で煮る。 - 伸ばした(1)をひと口サイズにちぎって入れる。
- 再度沸騰したらA・しいたけ・長ねぎを入れ、5~10分程度煮る
<ポイント>
- ひっつみは練ってからすぐに煮ることでも作れますが、寝かせる工程を入れてコシを出すのがポイントです。
- お好みでしょうゆを味噌に変更してもおいしく食べられます。
素朴で飾らない家庭の味、ひっつみ汁。
冬の寒い日に食べるとどこか懐かしさを憶える一品です。
鍋物の一種として、ご自宅でもぜひ召し上がってみてください☆
Text by はむこ/食育インストラクター