暑い夏には冷たい食べものが欠かせませんね。
今回は、日本に昔からある和菓子の中から、暑い季節にぴったりの「葛切り」をご紹介します。
子どもでも食べやすいフルーツ入りの手作りシロップと一緒にいただきましょう。
【調理のときに気をつけたいこと】
食中毒は一年中起こっていますが、特に蒸し暑い夏の時期は細菌性食中毒に注意が必要です。
調理をするときはしっかりと手を洗い、作業スペースの衛生面にも気をつけましょう。
「出来上がったらすぐ食べる」を基本とし、あとで食べる場合などは、きれいな保存容器や袋に入れ、保管場所の温度や衛生管理にも気をつけて。
それではレシピのご紹介です。
まずはシロップを先に作って冷やしておきましょう。
【シロップ】
さわやかな酸味が特徴のグレープフルーツを使って、さっぱりとしたシロップを作りましょう。
<材料(作りやすい分量)> 調理時間:15分(冷やす時間は除く)
グレープフルーツ(ホワイト)・・1個
グレープフルーツ(ルビー)・・1個
A塩・・ひとつまみ
A上白糖・・80g
A水・・100g
リキュール・・小さじ1
※ホワイトキュラソー(コアントローなど)がおすすめです。
<作り方>
- グレープフルーツは皮をむいて中の薄皮もむき、実を取り出す(ほぐれてOK)
- 鍋にAを入れて火にかけ、沸騰したらリキュールを加えてひと煮立ちさせる
- (2)の粗熱が取れたら(1)を入れ、冷ます
(グレープフルーツの果汁があれば一緒に加える)
<ポイント>
- サッパリとした甘さがよい場合は、グラニュー糖で作ってください。
- リキュールは加熱するのでアルコール分は飛びますが、入れなくても構いません。(大人向けに作る場合は冷めてから大さじ1程度加えるとおいしいですよ。)
続いて葛切りを作りましょう。
【葛切り】
葛独特の弾力と歯ごたえが病みつきになる一品。
少し高価ですが、今回のレシピはぜひ本葛粉を使ってください。
<材料(作りやすい分量> 調理時間:20分(生地を休ませる時間は除く)
本葛粉・・50g
上白糖・・20g
水・・160g
<作り方>
- ボウルに葛粉・上白糖・水を入れてよく混ぜ、30分ほど休ませる
- 15cmくらいの流し缶(または金属性のバット)がすべて浸るくらいの鍋を用意し、湯を沸かす
- (1)をよく混ぜ、流し缶の中に流し入れる(2~3mm厚くらいになるように)
- (3)の型の底が(2)の湯についた状態でしばらくそのままにし、生地の表面を触ってもくっつかなくなってきたら湯の中に型全体を沈め、透明になるまで火を通す
- 型を取り出し、中の湯を捨てて氷水に取って冷まし、竹串などで回りを外して中身を取り出す(この作業を生地がなくなるまで何回か繰り返す)
- 食べやすいサイズに切って器に盛り、冷えたシロップをかける
<ポイント>
- 火を扱う作業を子どもが行う場合は、大人がつき添い、怪我などが無いように見てあげましょう。難しい場合は無理せず大人が行うようにしてください。
- ・工程4で生地の表面が乾いてくるまでの間、流し缶などがななめになってしまう場合は、トングなどで側面を持ってあげるとまっすぐになります。蒸気が上がっているので、気をつけながら作業しましょう。
【葛(くず)】
葛はマメ科のつる植物で、その根をつぶしてでんぷんを取り出し、精製したものが「葛粉(くずこ)」です。
葛粉は葛だけで作った「本葛」のほか、じゃがいもやさつまいも・とうもろこしから採れるでんぷんを混ぜて作ったものなどが出回っています。
葛は精製に手間がかかるため、良質の本葛は大量生産が難しく価格も高めですが、仕上がりに差が出ますので、今回のように葛をしっかりと使いたいものは本葛を選んでください。
葛湯など日常的に楽しむものは、支障がなければほかのでんぷんが混ざった商品でも十分おいしくいただけます。
また葛は、お菓子や料理以外にも、昔から生薬の「葛根」・漢方薬の「葛根湯」などの原料としても使われています。
薬効としては発汗や解熱・血行促進などがあり、風邪のひき始めや頭痛・肩こりなどに有効とされています。
いかがでしたか。
今回は子どもでも食べやすいさっぱりとしたシロップにしましたが、王道の黒みつ・きな粉のほか、梅酒などの果実酒で作ったシロップをかけてもおいしいです。
難しいと思われがちな和菓子ですが、簡単に出来るものも多いので、ぜひいろいろなレシピに挑戦してみてくださいね。
Text byさゆり/食育インストラクター