ゆずはその豊かな香りをいかした料理やお菓子だけでなく、お風呂や化粧品など幅広く利用されています。
今回はそんなゆずについてのお話です。
【ゆずの歴史と原産地】
ゆずの原産国は中国で、日本には奈良時代前後に伝わったといわれています。
当時は食用ではなく、薬用として用いられていました。
世界では韓国や中国、スペインなどでも生産されています。
日本では高知県が日本一の生産量を誇り、ほかにも、徳島県や愛媛県など四国地方で盛んに栽培されています。
【黄ゆずと青ゆずの特徴】
黄色い成熟果の「黄ゆず」は秋から冬にかけて出回るほか、夏には未熟果の「青ゆず」も市場に登場します。
果汁はぽん酢の材料に、果皮は刻んで料理に使われたり、果肉をくり抜いて、器に見立てたりするなどして香りを楽しみます。
青ゆずならではの使い方といえば、柚子胡椒。
柚子胡椒は、青ゆず・青唐辛子・塩があれば作れます。
作り方は、ゆずの皮と青唐辛子をみじん切りにし、すり鉢に入れ塩とともによくすり混ぜます。
全体になじんだら保存容器に入れて完成です。
もし、青ゆずが手に入った際には市販品とはまた違うフレッシュさを味わってみ下さいね。
【おいしいゆずの選び方と保存方法】
皮にハリがあり、香りがよく傷がないものを選びましょう。
また、ヘタの切り口が枯れていないものが良品です。
購入したら、乾燥しないようラップで包み、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。
使い切れない場合は、皮と果肉に分け、果汁にしてから別々に冷凍保存しましょう。
【気になるゆずの栄養】
●ビタミンC
ゆずには豊富なビタミンCが含まれています。
皮膚や細胞のコラーゲンの合成に不可欠で、免疫力の強化や抗酸化作用による動脈硬化防止に期待できます。
ビタミンCは水に溶けやすく、加熱すると壊れて酸化しやすいので注意が必要です。
●クエン酸
クエン酸は、レモンやオレンジなどにも含まれている酸味のある成分で、味にメリハリをつけるだけではなく、胃液や唾液の分泌量を増やすため、胃腸の働きを整える効果があります。
また、日焼け防止・疲労回復効果などもあります。
●リモネン
爽やかな香りの正体であるリモネンは、皮に多く含まれている成分で、香料や天然由来の溶剤として使われています。
この香りには血行促進・リラックス効果などがあります
【冬至にゆず湯に入るのはなぜ?】
冬至はゆず湯に入るという風習は知っていても、なぜ冬至にゆず湯に入るのか知らない方も多いと思います。
そもそも冬至とは簡単にいうと、1年で最も昼の時間が短く、夜が長くなる日のことです。
冬至にゆず湯に入るという習慣は、江戸時代から始まったといわれています。
ゆず湯に入る理由にはさまざまな説がありますが、そのなかの2つをご紹介します。
まず、冬至は昼が短く寒いため、江戸時代では命に関わる危険な日でした。
この時期に旬を迎えるゆずは香りが強く、邪気をはらうと考えられていたため、禊としてゆず湯に入っていたという説
次に、冬至=「湯治」・ゆず=「融通」という語呂合わせからという説です。
単に体を温めるというだけではなく、悪い気を追いはらうという意味がありました。
実際にゆず湯には、リラックス・美肌効果などが期待できますよ。
いかがでしたか?
古くから現代に至るまで、ゆずは私たちの食卓や伝統行事に欠かせない存在として親しまれてきました。
ゆずは豊かな香りや風味だけではなく、栄養価でも優れた食材だとお分かりいただけたかと思います。
ぜひ、普段の食事にゆずを取り入れてみてください。
Text by あお/食育インストラクター