今回は、脇役にされがちなパセリの魅力についてご紹介します。
【パセリとは】
パセリは、地中海沿岸が原産とされるセリ科オランダセリ属の野菜で、古代ギリシャやエジプトでは、すでに食べられていました。
9~16世紀ころにフランスやイギリスなどヨーロッパ地域に浸透し、その後はヨーロッパから移住した人達によって、アメリカにも伝わりました。
日本へは、オランダ経由で18世紀ころに伝来したとされ、名前も「洋ゼリ」や「オランダゼリ」と呼ばれていました。
日本でパセリといえば、クルッと丸まった葉が特徴的な縮葉種が一般的ですが、パセリの原型は、イタリアンパセリのように平面的な形をした平葉種です。
また、日本ではほとんど見ることが出来ませんが、根が人参のような形に成長する根パセリ(ルートパセリ)という品種もあります。
葉の形はイタリアンパセリのように平面的な形をしています。
根は生でサラダにしても食べられるそうですが、少しクセがあるので煮込みや、ソテー・フライなど、加熱して食べるとホクホクとした食感とさわやかな香りが楽しめます。
【購入の目安と保存】
パセリは葉の緑が濃く、茎や葉に張りがあってみずみずしい、しっかりとしているものが新鮮です。
購入したら、濡らしたペーパータオルなどを茎の切り口にあてたり、コップに水を入れて茎をさした状態で冷蔵庫に保存すると長持ちします。
その際はビニール袋に入れ、葉の部分を覆ってあげると乾燥を防げます。
また使い切れない場合は、刻んで冷凍保存しておくとサッと使えて便利です。
【栄養】
パセリは、β-カロテンやビタミンK・葉酸などのビタミン類のほか、カリウムやカルシウム・鉄などのミネラル類も豊富です。
●β-カロテン・ビタミンK
β-カロテンは、強い抗酸化力を持つビタミンで、体内で必要な量がビタミンAに変化します。
ビタミンAは脂溶性ビタミンで、皮膚や粘膜を丈夫にし、風邪予防や肌荒れに効果を発揮します。
また目の健康維持や歯・骨の発育にも関わります。
ビタミンKも脂溶性ビタミンで、カルシウムが骨に沈着する際に関わるので、成長期の子どもはしっかりと摂りたいビタミンです。
脂溶性ビタミンは、油と一緒に摂ると効率よく体内で吸収されるので、パセリを刻んでドレッシングに加えたり、炒め物の仕上げに入れると、そのまま食べるよりも多く摂ることが出来ます。
●葉酸
葉酸はビタミンB群に分類される水溶性のビタミンで、子どもの成長や妊娠初期の胎児の発育に欠かせません。
赤血球の生成や、細胞の新生に関わる葉酸は、ビタミンB12とともに悪性貧血の予防にも効果を発揮します。
サプリメントなども多く出回っていますが、特別な事情がない限りは、食事を通して食材から摂るようにしましょう。
●ミネラル類
カリウムは摂り過ぎたナトリウムを体の外に出すことで、バランスを保つ働きがあります。
高血圧の予防や、むくみの改善などに効果的です。
水に溶けやすく、熱に弱いので、長時間の加熱などは避けるとしっかり摂ることが出来ます。
カルシウムは、骨や歯を丈夫にする栄養素として有名ですが、実は体のさまざまな場所に存在し、筋肉を正常に動かしたり、神経伝達をスムーズにする働きもあります。
いろいろな食材に含まれますので、バランスよく食べることで不足を防ぎましょう。
鉄は、体中に酸素を届ける赤血球の成分としてとても大切な栄養素です。
不足すると、めまいや吐き気を引き起こしたりするので、日常生活に支障が出ることもあります。
特に女性は月経期間や妊娠中にとても必要となるので、日頃から積極的に摂るようにしましょう。
鉄には動物性の食材から摂れるヘム鉄と、野菜などから摂れる非ヘム鉄があります。
鉄は体内での吸収率が低い栄養素ですが、ビタミンCと一緒に摂ると吸収率が上がるとされています。
いかがでしたか。
香りの強い食材ですが、口臭予防や消化の促進・利尿作用などもあるので、日常の中に摂り入れると、体によい効果がたくさんあります。
大量に消費するというのは難しいかもしれませんが、工夫して使ってみてください。
Text by さゆり/食育インストラクター