名前や昨日食べたものが思い出せなかったり、会話の中で「あれ」「それ」という言葉が増えてくると、記憶力の低下が気になるものですよね…。
今回は、いくつになっても衰えさせたくない!「記憶力」を食の観点から見ていきたいと思います。
【そもそも記憶力はどうして衰えるの?】
脳の神経細胞は、アセチルコリンという神経伝達物質を介して、情報をやり取りしたり、記憶を定着させています。
しかし、歳とともにアセチルコリンの分泌は衰えてきます。
そのほか、睡眠不足やストレスなども、記憶力や集中力を低下させる要因になります。
そして、近年では、スマートフォンやタブレットに依存すると物忘れが激しくなり、判断力や意欲が低下すると言われています。
文字や映像などの膨大な情報が絶えず脳に流入し続け、情報処理が追いつかなくなることから脳疲労を起こすためです。
スマートフォンやタブレットを息抜きのつもりで使っていても、息抜きになっておらず、逆に脳を疲れさせているというケースも考えられます。
【記憶力アップをサポートしてくれる栄養素】
脳を活性化してくれる栄養素に、以下のものが挙げられます。
●レシチン(卵黄、大豆、大豆製品に含有)
●DHA(青背の魚に含有)
●ビタミンA・ビタミンC・ビタミンEなどの抗酸化ビタミン(緑黄色野菜やナッツ類に含有)
●テオブロミン(チョコレート、ココアに含有)
●グルタミン酸(マグロ、キャベツ、トマトに含有)
なかでもレシチンは、アセチルコリンの材料となります。
つまり、レシチンが欠乏していると神経伝達物質であるアセチルコリンの量が減ってしまい、情報がうまく伝達しなくなり、記憶力の低下を招きます。
【卵黄でレシチンを上手に摂り入れよう☆】
レシチンは、原料によって大きく「大豆レシチン」と「卵黄レシチン」に分けられます。
この2つの働きに大きな違いはありませんが、「卵黄レシチン」の方が脳の機能改善への効果を得意としています。
卵は通年店頭で購入でき、各家庭で冷蔵庫にストックされている方も多いのではないでしょうか?
実際、各国の年間1人あたりの卵消費量を比較してみると、日本は333個で世界第2位となっています。
ほぼ毎日食べている計算になりますね!
大豆製品にもレシチンは多く含まれているので、納豆と卵で納豆オムレツ、油揚げと卵で油揚げの卵とじにすれば、レシチンのダブルパワーでより効果が期待できます☆
【とはいえ、卵ってコレステロールが高いんじゃないの?】
以前は食事摂取基準でコレステロールの目標量が定められていましたが、2015年版より目標量はなくなりました。
現在では、卵は1日に1~2個程度であれば、生活習慣病の誘発要因にはならず、むしろ良質なたんぱく質源になると考えられています。
【よく噛むと記憶力がアップする!?】
噛むことのメリットには、唾液分泌による虫歯や歯周病の予防、味覚の発達、肥満予防などがありますが、近年注目されているのが記憶力の低下を防ぐというもの。
記憶の定着で重要な働きを担う脳の海馬という部分が、噛むことで活性化されることが実験で証明されています。
今回ご紹介したこれらの栄養素ばかりを摂っていれば、すぐに記憶力がアップする!という訳ではありません。
睡眠などの休息を充分にとること、喫煙量やアルコールの摂取を控えることも脳の老化予防に繋がります☆
心身ともに健康なことが、記憶力に大きく関わっているのかもしれませんね。
Text by ろい/食育インストラクター