「今日は疲れたなぁ、食事の準備も面倒くさいし、お腹も空いてないから晩ご飯抜きでもいいや」 あまり空腹感を感じないと、こんな風に食事を抜く選択をしてしまうことも珍しくないのでは?
しかし、食事は健康維持に欠かせない要素の1つです。
こんなことがたびたび続くと、いずれ重大な不調を招いてしまう恐れも…!?
今回は空腹のメカニズムと、食欲をアップさせるのに良い食材をお知らせ致します。
【空腹のメカニズムとは】
そもそも、空腹感を感じる状態とはどんな時でしょう?
空腹感に関わってくる要素はたくさんありますが、大きなものでは血液中のブドウ糖量(血糖値)があります。
ブドウ糖は脳が働くために不可欠な存在です。
そのため、血液中のブドウ糖量が足りなくなった時、脳の視床下部からホルモンが分泌されます。
このホルモンの影響により、「お腹が減ったなあ…」と感じるのです。
では食欲が無いのは血糖値の問題なのかというと、血糖値そのものより視床下部の働きに起因するところが多く、ストレスによって視床下部のホルモン分泌のコントロールが乱れることで食欲減退に繋がってしまうのです(逆に暴飲暴食に走る可能性もあります)。
それ以外で食欲が減退する理由は夏バテや胃腸の不調、更年期障害などが考えられます。
原因が何であれ、「私は痩せたいから食欲が無いのはむしろ好都合」と思うのは危険です。
食事量が減るほど栄養失調に陥る危険性は増しますし、貧血や頭痛、便秘なども誘発し、日常生活を送るのも辛い!という状態になることもあり得るのです。
【お腹が空かない時に食べると良いものあれこれ】
食欲不振の時に食べると良いと言われる食べ物は酸っぱいものや香辛料、そしてアルコールなどが挙げられています。
●酸っぱい食べ物
酸っぱい食べ物の代表格である酢の物や梅干し、レモンは食欲を高めると言われています。
その理由は、酸によって胃酸や唾液の分泌が促されるので、消化機能が向上するためです。
また、梅干しやレモンに含まれているクエン酸には疲労回復効果もあるため、夏バテの時に酸味の効いた酸っぱいものが食べたくなるのは理にかなっていると言えますね。
●香辛料
香辛料の香りは食欲を高めてくれると言われています。
クミンやコリアンダーは特にその効果が高い香辛料に数えられています。
ただし、香辛料は胃腸に刺激を与えるものも多く、原因が消化器からくる食欲減退時には逆効果になる可能性もあるので注意が必要です。
●アルコール
アルコール類には胃酸の分泌を高める効果=食欲増進効果があり、コース料理に食前酒がふるまわれる理由の一つです。
ですが、このアルコールの食欲増進効果には、視床下部の働きを鈍くさせることで満腹感をにぶらせるという効果がセットでついてきます。
少量であれば食事を美味しく楽しむためのパートナーになってくれますが、飲みすぎてしまうと食べ過ぎて胃腸の働きが低下、ますます食欲不振になってしまうことも…!?
量を調節して、百薬の長にしてあげたいものですね。
なお、消化器の調子が悪い場合は、食欲がわかないのも当然のことです。
この場合は出来るだけ負担の少ないもの、例えば、おかゆや柔らかく煮た野菜、お肉であれば脂質の少ないものをゆっくり召し上がるようにし、それでもなお続くなら受診も視野に入れて下さいね。
Text by はむこ/食育インストラクター