身体が芯から冷込む冬には、やっぱり温かいものが飲みたくなりますよね?
今回は数あるホットドリンクの中でも、日本の代表的な飲み物の1つである「葛湯」についてのお話です。
【風邪には葛湯の理由】
民間療法として、風邪の引き始めには葛湯を飲む習慣のある方もいらっしゃると思います。
確かに、とろみのついた熱々の葛湯を少しずつ飲んでいると、やがて体が温まってきて、飲み終わる頃には少し汗ばんでいるぐらいになっていたなんてこともあるかと思います。
これは、葛のとろみ作用で熱が冷めにくく、少しずつ時間をかけて飲むことで、身体がより温まりやすい状態になるからです。
身体が温まると気道が開きやすくなって咳や鼻づまりの症状の緩和も期待できます。
また、葛は主成分がでんぷん=炭水化物なので、消化・吸収が素早く行われ、エネルギーになりやすいという点も。
体調の悪い時は消化機能も弱まるので、胃腸への負担が少なくエネルギーを生み出せる葛湯は風邪の引き始めにピッタリの飲み物と言えるでしょう。
昔の人の知恵はすごいですね!
ちなみに、漢方薬の世界でも、葛は風邪の引き始めに良いとされています。
あの「葛根湯」の葛根とはまさしく葛の根のことを指しているので、その効果のほどは折り紙付きといえるのかもしれません。
【葛じゃない葛湯?】
秋の七草の1つにも数えられているほど、日本人にとってなじみ深い葛ですが、葛粉は片栗粉やコーンスターチといったでんぷん粉に比べると大変な高級品になってしまっています。
葛は山に自生しているものを原料とするので、じゃがいもやとうもろこしに比べて大量生産が難しく、必然的に価格も高くなりやすいようです。
このため、市販品の葛湯の中には、葛だけではなく他のでんぷん粉を加えているものも数多くあります。
もし葛粉100%の葛湯を飲みたい場合は、自分で作るのが一番の近道と言えるかもしれません。
葛粉1に対して熱湯10~11の割合で混ぜると簡単に作ることができます(他のでんぷん粉を使う時と同じく、事前に葛粉を水で溶いておくと失敗しにくいです)。
お好みで砂糖やはちみつを加えたり、すりおろした生姜を加えても美味しく召し上がって頂けるので特に冷え込む日などにぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか?
Text by はむこ/食育インストラクター