「あれっ?」と口の中に違和感を覚えたら、次第に“できもの”が大きくなって口内炎になってしまった、という経験をした方も多いのではないでしょうか。
「栄養不足だからビタミンをたっぷり摂らなきゃ」と思いがちですが、もしかしたら対処法が違うかもしれません。
【口内炎は単なる栄養不足ではない!?】
まず、口内炎というのは、口の粘膜全体に起こる炎症の総称で、腫れや痛みなどを伴い、原因は色々あります。
原因が比較的明らかなものには、ウイルス性の口内炎、薬アレルギーによるもの、免疫反応や食事中に噛んでしまったり、中には歯の金属アレルギーが原因という物理的な理由もあります。
なお、舌だけにできた時は舌炎、歯肉だけのときは歯肉炎と呼びます。
一般的には疲れた時や体調が悪いときに小さな“できもの”が1個から複数個できることがあり、アフタ性口内炎と呼ばれます。
通常は何もしなくても1週間以内に治ることが多いのですが、それ以上経っても症状が改善しない時は、他の病気の症状かもしれないため、歯科医院で診てもらいましょう。
【口内炎には色々な原因があります】
例えば、ウイルス性のものには手足口病やヘルパンギーナ、菌の感染によるものには口腔カンジダ症、中には口腔がんなど腫瘍が原因の場合もあります。
特に口腔がんの初期症状はアフタ性口内炎と見分けがつかないこともあるため、1週間以上治らない場合は自己判断を避けて専門医に診てもらい治療しましょう。
また、年齢によっても、なりやすい口内炎の原因が違います。
例えば、幼児期の粘膜は薄くて弱いため、色々な刺激ですぐに炎症が出来てしまいます。
食べ物が口に入ると嫌がったり痛がる表情をしますが、頬や唇以外の見つけにくい場所にできることも多く、気づくのが遅くなることもあります。
これはアフタ性口内炎のことが多く、1週間程度で治り、繰り返し同じような場所にできるのが特徴です。
学齢期にできる口内炎では手足口病やヘルペス性もあります。
また、虫歯で欠けた歯が当たってできる場合もあります。
妊娠中も比較的口内炎になりやすい条件が重なります。
つわりや嗜好性の変化で口の中の衛生や栄養の偏りが原因になり得ますので、注意しましょう。
大人の原因の中には、唾液が減少して口の粘膜を保護する力が弱まって起こることもあります。
特に高齢期は唾液が減少するだけでなく、義歯による刺激や時には金属アレルギーということも考えられるため、繰り返すようなら、色々な原因を探るとよいでしょう。
【予防法や治療法が知りたい!】
口内炎になってしまった時の治療法は、専門医に診せれば必要に応じて軟膏やシール状のもの、飲み薬を処方されます。
しかし、残念ながら完全な予防法はありません。
原因となる要素が様々なため、確実な方法はありませんが、栄養バランスのとれた食事をして規則正しく、ストレスを抱え込まない生活を目指すのが近道と言えるでしょう。
特に気になる場合は、粘膜を健康に保つビタミンAやビタミンB2を多く含む食品を積極的に食べましょう。
豚のレバーには両方の栄養素が多く含まれています。
比較的調理しやすい食材では、ビタミンAはにんじんや西洋かぼちゃに、ビタミンB2は納豆や鶏卵に多く含まれていますので、食事のバランスを気にしながら、免疫力アップを目指して食べましょう。
Text by ゆず/食育インストラクター