食べた栄養素は体の中でどうなるの? 炭水化物(糖質)編

栄養バランスのよい食事をとると、健康や美容につながることは、広く知られています。
ただ栄養といっても、どんな種類があって、どんな働きをしているのかをひとつひとつ調べていくのは大変ですよね。
今回から栄養素の基本的な役割と働きについて、定期的にゆる~くお知らせします!

【栄養素の基本の考え方】

ひと口に栄養素と言っても、その役割によって大きく二分されます。
ひとつは、体を動かすエネルギー源や体をつくる主要栄養素
炭水化物(糖質)・脂質・たんぱく質がここに分類されます。
人間を車に例えると、エネルギーはガソリン(燃料)に相当するもので、無くなるとガス欠になって動けなくなります。
車ならガス欠を起こしても給油すればよいですが、人間の場合は食べ物を食べなければ死んでしまうので、絶対に摂らなければいけない栄養素です。

もうひとつは、微量栄養素。
体の機能調節に働く栄養素で、ビタミンやミネラルが分類されます。
同じく人間を車に例えて考えると、部品・パーツを正常に働かすためのオイル類と考えると近いです。
オイル交換をしなければ、車はやがてパーツの故障などが起きますが、それを人間にあてはめると、何らかの病気や老化現象が起こっている状態です。
こちらも大切な栄養素なのですね。

 【もっとも効率のよい燃料・炭水化物】

今回は主要栄養素のなかから、炭水化物(※以下、糖質)についてお話します。
糖質は主要栄養素のなかでも最も吸収が早いのが最大の特徴です。
日本だけではなく、世界中の多くの国で、糖質を多く含む食品が主食となっています(主に米・小麦・トウモロコシ・イモ類など)。
体が真っ先にエネルギーとして使うのも糖質で、脳を動かす主要な燃料にもなっています
脳は絶えず活動しているので、燃料である糖質が無くなると体に指令を出し、食事をするように促します。
これが「お腹が空いたなぁ」と感じる体の仕組みです。
再び車で例えると、空腹は体の給油ランプが点灯したときだといえます。
一日三回も給油しなければならない人間の体はちょっと燃費が悪いのかも…?

しかし、脳が使うエネルギーは人間の体の中でかなりの割合を占めます
勉強や仕事でものを考えるときだけではなく、無意識でも体のあちこちに指令を出している器官なので、脳がエネルギー不足だとさまざまな問題が起きてしまうのです!
糖質が主要な栄養素になるのも、うなずけますよね。

 


【抜く、のは正しい指導の下で!】

糖質はこれだけ大切な栄養素なので、「意図的に摂らないようにする」のは何か事情があるときだけです。
ここには、医師と管理栄養士の指導の下、病気の治療や予防のために制限を行う場合などが該当します。
そのため、自己流で糖質カットの食事をするのは健康に危険を及ぼす。と考えてよいでしょう。
例えば、脳が糖質不足になると、判断力や集中力の低下を招く可能性があり、勉強や仕事の効率が落ちる原因になったり、低血糖状態に陥り、激しいめまいなどを引き起こすこともあります。
どの程度糖質を摂ればよいのかは、体格や年齢・性別に加え、日々の活動量・既往症の有無など、さまざまな要素が関わりあっています

たとえば、デスクワークの多い成人であっても、三食きちんと主食(成人なら茶碗一杯・150g程度のごはんが目安)をとっていただきたいですね。
なお、日々の運動習慣がある方や、肉体労働をされている方は、しっかりエネルギーを補給しなければいけないので、主食の量はこの値より多めが推奨されます。
また、間食を設けてこまめに補給するのもよいでしょう。

糖質は体にとって最も大切な栄養素ですが、し好品にもたくさん含まれています。
とり過ぎは肥満を招くので、まずは三食の主食できちんと摂り、お菓子や甘い飲み物は量を調節しながら召し上がってください☆

Text byはむこ/食育インストラクター