食べた栄養素は体の中でどうなるの? たんぱく質編

私たちは日々の食事でエネルギーや栄養素を摂取し、生命を維持したり身体活動を行っています。
今回は、毎日欠かさず摂りたい「たんぱく質」についてのお話です。

【たんぱく質ってどんな栄養素?】

たんぱく質は糖質・脂質と並ぶ三大栄養素のひとつで、生きていく上で欠かせない重要な栄養素です。
体重の約1/5を占め、血液や筋肉などの体をつくる主要な成分であるとともに、酵素などの生命の維持に欠かせない多くの成分になります。
また、エネルギー源として使われることもあります。
たんぱく質は、20種類のアミノ酸のさまざまな配列によって構成されています。
20種類のアミノ酸のうち9種類は必須アミノ酸と呼ばれ、体内で合成することができないため、食事から摂取しなければなりません

【どんな食べ物に多く含まれているの?】

良質なたんぱく質は、以下の食品に多く含まれています。

  • 肉類(牛、豚、鶏、ハムなど)
  • 魚介類(魚、小魚、貝、ねり製品など)
  • 卵類(鶏卵、うずら卵など)
  • 大豆や大豆製品(大豆、納豆、豆腐など)
  • 牛乳や乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズなど)

食事は、主食(ご飯、パン、麺など)、主菜(肉、魚、卵、大豆製品を使ったメインのおかず)、副菜(野菜や海藻類などを使ったおかず)に分けて見ることができます。
この場合、たんぱく質を多く含む食品は主菜です。
1回の食事ごとにきちんと主菜を入れ、間食などで牛乳・乳製品を補うことが、たんぱく質をしっかり摂るコツです。

【摂ったたんぱく質は、体の中でどう変化するの?】 

口から入った食品は食道から胃へ運ばれ、十二指腸から小腸、大腸を通り、不要なものは便として排泄されます。
たんぱく質はアミノ酸が繋がった非常に大きな分子で、その状態では体内に吸収できません
消化器官を通る過程で、それぞれの器官から分泌される酵素によって繋がりを短くし、吸収されやすい形に変化していきます。
その後、血液によって各組織へ運ばれ、筋肉、内臓、骨などの材料となるほか、ホルモンや抗体の構成成分になるなど、体の中でさまざまな機能を果たしています。


【意外と「たんぱく質」は不足しがち?】

一般的に、健康な成人はたんぱく質の合成と分解の量が釣り合っている状態です。
しかし、トレーニングなどで筋たんぱく質が分解された場合は、その修復のため合成量を増やす必要があります。
また、ケガや病気などにより、体たんぱく質が低下している状態の回復期も同様です。
ご高齢の方の場合は徐々に食事量が少なくなり、たんぱく質不足を招いていることに気付かないケースもあります。

【たんぱく質が不足すると、体にどんな変化が起こるの?】

体内のたんぱく質は、日々つくり替えられています
体内で古くなったたんぱく質は排泄し、食事で摂ったたんぱく質を利用して新しいものをつくり出しています。
たんぱく質が不足するとつくり替えることができず、筋力などが衰えるだけでなく、体の機能低下を引き起こし、転倒や骨折を起こしやすくなる可能性が増すと考えられています。

【自分に必要な量のたんぱく質を摂ろう!】

厚生労働省が定めている「日本人の食事摂取基準」は、日本人の1日に必要なエネルギーや栄養素量を示した基準です。
食事摂取基準は、年齢と性別に応じて必要量が定まっています

たんぱく質は以下のようになっています。

成人女性の推奨量は50gとなっていますが、これは何をどれくらい食べたら満たせるのでしょうか?

あくまで一例ですが、

  • 紅鮭1切れ(100g)
  • 納豆1パック(30g)
  • ゆで卵1個(約50g)
  • 皮つき鶏もも肉1食分(100g)
  • 牛乳コップ1杯(200ml)

これらをすべてとると、たんぱく質は50gほどになります。

いかがでしたか?
皆さんも食事摂取基準をもとに、ご自分に必要なたんぱく質量を摂れるよう、日々の食事を工夫してみてくださいね♪

Text byろい/食育インストラクター