「最近物忘れが増えたなぁ…」と感じることはありませんか?
物忘れが日常的になっていて、生活に支障が出ているという場合は注意が必要かもしれません。
というのも、若くして発症する「若年性認知症」が令和2年の調査では、全国で3.57万人と推計され、今後認知症患者は増えていくのではないかと考えられているのです。
今回は、知っておいて損なし!「若年性認知症」や、脳の活性化をサポートする栄養素についてお話しします。
【まずは「認知症」について知ろう】
認知症は、慢性あるいは進行性の脳疾患によって生じ、記憶や思考、見当識、理解、計算、学習、言語、判断などに障害をきたす疾患です。
認知症の症状は、認知症の原因疾患や脳のどの辺りの神経細胞が障害されているかによっても違いが出てきます。
症状のうち、記憶障害や周りの状況が理解できなくなる見当識障害など、脳の障害に基づく症状を「中核症状」と言います。
一方、認知症発症によって不安や戸惑い、焦り、怒り、興奮などを感じやすくなり、被害妄想などが生じるケースもあります。
このような心理的な反応として出現する異常行動や精神症状を「周辺症状」と言います。
【「認知症」は1つの病名ではない!】
認知症というのは、1つの病名ではありません。
認知症を起こす病気はさまざまですが、多くの場合は脳の病気であり、進行性です。
国の調査では、アルツハイマー型認知症が最も多くなっています。
次いで血管性認知症、前頭側頭型認知症、外傷による認知症、レビー小体型認知症/パーキンソン病による認知症となっています。
【高齢者だけではない?若い人にも起こりうる認知症の危険性】
認知症は一般的には高齢者に多い病気ですが、65歳未満で発症した場合、「若年性認知症」とされます。
<若年性認知症は、高齢者の認知症とどのような違いがあるの?>
●発症年齢
若年性認知症の平均の発症年齢は約51歳と、若い傾向があります。
●性別
女性が多い高齢者の認知症と違い、男性の割合が少し多いというデータがあります。
●受診や診断の遅れ
今までと違う変化に気付いても、本人も周囲の人も年齢的に認知症とは思わず受診が遅れる、なかなか受診に踏み切れない、もしくは本人に病気の自覚が無く、受診を拒否するケースも多くあります。
また、うつ病や更年期障害などとの区別が難しく、高齢者の認知症よりも、より高度な診断技術が必要となります。
若年性認知症は働き盛りの世代で発症するため、本人だけでなく、家族の生活への影響が大きくなりやすい特徴があります。
病気のために仕事に支障が出たり、仕事を辞めることになって経済的に困難な状況になってしまいます。
また、子どもが成人していない場合は親の病気が与える心理的影響が大きく、教育、就職、結婚などの人生設計が変わることになりかねません。
さらに、若年性認知症患者本人やその配偶者の親の介護が重なることもあり、負担が大きくなります。
このように、若年性認知症は社会的にも大きな問題ですが、企業や医療・介護の現場でもまだ認識が不足している現状です。
【食事からのアプローチもできる?】
認知症の予防で大切なのは、脳の健康を維持することです。
今回は、脳を活性化してくれる栄養素をいくつかご紹介します。
- レシチン(卵黄、大豆、大豆製品に含有)
- DHA(青背の魚に含有)
- ビタミンA・ビタミンC・ビタミンEなどの抗酸化ビタミン(緑黄色野菜やナッツ類に含有)
- テオブロミン(チョコレート、ココアに含有)
- グルタミン酸(マグロ、キャベツ、トマトに含有)
なかでもレシチンは、神経伝達物質のアセチルコリンの材料となります。
つまり、レシチンが欠乏しているとアセチルコリンの量が減ってしまい、情報が脳にうまく伝達しなくなり、記憶力の低下を招くのです。
レシチンは、原料によって大きく「大豆レシチン」と「卵黄レシチン」に分けられます。
この2つの働きに大きな違いはありませんが、「卵黄レシチン」の方が脳の機能改善効果が高いとされています。
また、肥満は高血圧や耐糖能異常(空腹時の血糖値が、正常値と糖尿病と判断される値の間にある状態。「糖尿病予備軍」とも言われる)を引き起こし、血管性認知症やアルツハイマー型認知症の発症リスクを高めます。
そのほか、運動不足、過度な喫煙や飲酒も発症リスクを高める要因となるので注意が必要です。
いかがでしたか?
今回ご紹介した栄養素を摂れば、絶対認知症にならない!という訳ではありませんが、皆さんも普段の食事にとりいれてみてくださいね☆
Text by ろい/食育インストラクター