世界的にみて、日本人は食塩摂取量が多いことで知られています。
なぜ、塩分をとり過ぎるといけないのか、そして、おいしく減塩する方法をご紹介します。
【1日あたりの食塩摂取量は?】
「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」の1日あたり食塩摂取量の目標値は、男性7.5g未満、女性6.5g未満です。
さらに、日本高血圧学会では1日6g未満、WHO(世界保健機関)では1日5g未満としています。
これに対し、成人における1日の平均食塩摂取量は、男女平均10.1g。
目標値より多く食塩を摂取していることが分かりますね。
塩分は体の機能を正常に保つ役割を担う、とても重要なものですが、とり過ぎると健康に影響を及ぼすことも・・・。
一気に食生活を変えるのは大変ですが、「買い物時に栄養成分をみる」、「汁物のスープやつゆは残す」など、出来ることから意識してみませんか。
【塩分をとり過ぎると…】
塩分(ナトリウム)をとり過ぎると、体は塩分濃度を一定に保つために水分をため込もうとします。
その結果、血液量が増え、心臓や血管内の一定量を超えてしまい、血管を押し広げて強い圧力をかけながら全身をめぐるため、血圧が上昇してしまうのです。
血圧が高い状態が続くと、血液を体に循環させるために心臓に負担がかかり、動脈硬化や心疾患、脳血管疾患を引き起こすおそれがあります。
また、塩分を排出してくれる腎臓の機能も低下し、腎不全のリスクも高まります。
【「減塩」に役立つ、6つのポイント】
●新鮮な食材を使う
新鮮な食材は、それだけでおいしいものです。
こうばしく焼いたり、じっくり蒸すことで素材のうま味や甘味を引き出すことができ、少ない調味料でもおいしく食べられます。
●出汁をきかせる
かつお節、昆布、干ししいたけなどには、うま味成分が多く、これらの出汁を料理に使うことで、塩味の物足りなさを補うことが出来ます。
ご家庭でぜひ、出汁をとっていただきたいものですが、忙しいときには、市販の出汁を活用するのもよいですね。
最近は、食塩無添加の出汁が売られているので、そちらを使うとよいでしょう。
●香味野菜や香辛料を使う
香味野菜や香辛料などの香りや風味の強い食材を使うことで、減塩したときに感じる物足りなさを、カバーします。
しょうが、にんにく、ねぎ、しそ、わさび、カレー粉など、ご家庭にあるものを上手くとり入れましょう。
●酸味のある食材を活用する
酢やレモンなどの酸味は、料理にメリハリをつけてくれます。
和え物や煮物、照り焼きなどのしょうゆをいつもより少し減らし、そこに少量の酢を加えるだけで、味が引き締まり、物足りなさを感じさせません。
●焼き目やとろみをつける
食材にこんがりとした焼き目をつけることでこうばしさが生まれ、少ない塩分でもおいしく食べられます。
また、料理にとろみをつけると、舌にとどまる時間が長くなり、味を感じやすくなるため、塩の量を控えることが出来ます。
●塩分の少ない調味料を使う
摂取する塩分のなかで最も多いのが、調味料からです。
特にしょうゆやみそは塩分が高いので必要以上の使用は避けたいところ。
現在では、減塩タイプの調味料も売られていますので、そちらを使うのもおすすめです。
以下に、ご家庭でよく使う調味料の食塩相当量を記しましたので、料理するときの参考にしてください。
・しょうゆ 大さじ1(18g)⇒2.6g
・みそ 大さじ1(18g)⇒2.2~2.3g
・トマトケチャップ 大さじ1(15g)⇒0.6g
・中濃ソース 大さじ1(18g)⇒1.2g
・マヨネーズ 大さじ1(12g)⇒0.3g
このほかにも、一食のなかでメリハリをつけることも大切です。
すべての料理の塩を減らしてしまうと、味気ない食事になってしまいます。
主菜はいつも通りの味つけにし、副菜や汁ものなどの塩分を控えるなど、工夫しておいしく減塩しましょう。
【食塩を控えるだけでなく、適度な運動も大切!】
ナトリウムを排出するには、ウォーキングなどの適度な運動も大切です。
今はコロナ禍にあり、なかなか外で運動するのは難しいかも知れませんが、なるべく体を動かすことを心がけましょう。
また、塩分のとり過ぎが気になったら、塩分を排出する効果のあるカリウムを食事にとり入れるのも◎。
カリウムは、野菜や果物に多く含まれています。
平成29年に日本高血圧学会によって毎月17日は「減塩の日」と制定されました。
いつまでも健康な体でいられるよう、これをきっかけに、普段の食生活を見直してみてはいかがですか?
Text byまち/食育インストラクター