毎日とり入れたい「発酵食品」のすすめ② ~納豆編~

発酵食品はおいしいだけでなく、栄養面でも嬉しいことがたくさん!
前回は「みそ」をご紹介しましたが、2回目はごはんと相性抜群、「納豆」についてのお話です。

【納豆の起源】

納豆は、大豆を原料とした発酵食品です。
発祥は諸説ありますが、いずれにしても煮た豆とワラの出会いがきっかけとなり、誕生しました。
弥生時代にはすでに食べられていたとも考えられている納豆がですが、広く食べられるようになったのは、江戸時代
しょうゆが安く手に入るようになったことが、納豆の普及に繋がったと言われています。
当時は、ザルにワラを敷き、その上に大豆をのせて室(むろ)で一晩発酵させた「ざる納豆」が一般的で、このざるを納豆売りが担いで売り歩いていました。

【納豆の種類】

現在日本で作られている納豆は、大きく分けて「糸挽き納豆」と「塩辛納豆」の2種類です。

●糸挽き納豆
蒸した大豆に納豆菌を繁殖させて発酵させたもので、一般的に納豆といえば、この糸挽き納豆のことを指します。
さらに、大豆を丸ごと煮て納豆菌で発酵させた「丸大豆納豆」、大豆を炒って粗く挽き、表の皮を除いてから煮て作る「挽き割り納豆」、挽き割り納豆に麹、塩を加えて熟成させた山形県米沢地方の郷土食「五斗(ごと)納豆(雪割り納豆)」の3つに分けられます。

●塩辛納豆
麹と塩水で大豆を発酵し、天日乾燥させたものです。
糸挽き納豆とは異なり、糸を引かないのが特徴です。
奈良時代に中国から伝わったことから「唐納豆」、寺で作られていたことから「寺納豆」とも呼ばれています。
京都府発祥の「大徳寺納豆」が有名で、黒褐色で塩味が強いため、お酒のおつまみや調味料として使われることが多いです。


【日本だけではない!?世界の納豆】

納豆は日本だけの食べ物ではなく、日本の周辺、アジアの国にも似た食品があるのを知っていますか?
インドネシアには「テンペ」、ネパールには「キネマ」、インドには「バーリュ」、そして中国には「豆鼓(トウチ)」という食品があります。
インドネシアの「テンペ」は、大豆を煮てからバナナの葉で包み、発酵させて作ります。
表面が白いカビでおおわれているのが特徴で、味にクセがないのでどんな料理とも相性がよく、肉の代替品として日本でも少し前から注目されています。
ネパールの「キネマ」は、日本の納豆のように粘りのある糸を引く食品で、調味料として使われています。
さらに、インドの「バーリュ」は、においも味も日本の糸引き納豆に似ています。
中国の「豆鼓(トウチ)」は、日本の塩辛納豆に似た食品で、黒豆や大豆を塩とカビで発酵させて作られています。みそに近い風味を持ち、中国料理に幅広く使われています。

【納豆の嬉しい栄養効果】

納豆の原材料である大豆は、発酵によりたんぱく質が分解されてうま味に変わり、栄養価もおいしさもアップ!
その発酵により生成されるのが、ナットウキナーゼという酵素です。
ナットウキナーゼは、血栓を溶かし、血液をサラサラにする働きや、コレステロール値を下げる効果が期待できます。
また、納豆は大豆よりもビタミンB2やビタミンKが多く含まれます
ビタミンB2 は髪や肌を健康に保つだけでなく、粘膜を保護してくれるのでニキビや口内炎の予防に役立ちます。
ビタミンKは丈夫な骨や歯を作るのに欠かせない栄養素で、血液を凝固させる成分を作り出し、出血を止める働きもあります。
さらに、納豆菌には整腸作用があるため、大腸がんの予防に効果的です。

【毎年7月10日は「納豆の日」】

「なっ(7)とう(10)」の語呂合わせから、昭和56年に関西納豆工業協同組合が定めた、記念日です。
もともとは、関西地方における納豆の消費量を増やす目的で制定されましたが、平成4年に全国納豆共同組合連合会が全国的な記念日にし、全国に広まって行きました。
最近では、生産地で有名な茨城県をはじめ、各地で納豆にちなんだイベントが開催されています。
また、「納豆のように粘り強く、夫婦仲よく過ごせるように」という願いを込めて、納豆の日を入籍日に選ぶ方もいるようです。

ごはんや餅、うどん、そばなどの和食だけでなく、パンやスパゲティなどとも相性がよい発酵食品、「納豆」を食べて毎日を元気に過ごしましょう!

Text byまち/食育インストラクター