毎日とり入れたい「発酵食品」のすすめ④ ~チーズ編~

発酵食品はおいしいだけでなく、栄養面でも嬉しいことがたくさん!
シリーズでお届けしている「発酵食品」のすすめ。
今回は、「そのまま食べても」、「料理に使っても」おいしい!「チーズ」をご紹介します。

【「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」の違いは?】

チーズは「人類が作った最も古い食品」とも言われるほど、昔からある乳製品です。
現在、世界中に1000種類以上あると言われていますが、大きく「ナチュラルチーズ」、「プロセスチーズ」の2つに分けられます。
ナチュラルチーズは、「乳を乳酸菌や凝乳酵素(レンネット)の働きで豆腐のようにかため、水分を減らしたもの」で、多くのものが発酵熟成して作られています。
プロセスチーズは、「ナチュラルチーズを加熱して発酵を止め、味を調えてかためたもの」です。
発酵熟成が止まることにより、ナチュラルチーズに比べて風味が一定し、賞味期限も長くなるといった利点を持っています。
また、いろいろな形に成形しやすく、ブロックタイプのほか、スライスやキャンデータイプ、シュレットタイプなど、用途に合わせたものを使用できるのが特徴です。

【ナチュラルチーズの分類】

ナチュラルチーズの分類方法は1つではなく、作り方などによって大きく6つに分けることが出来ます。

■フレッシュタイプ
その名の通り、熟成させずに作りたての風味を楽しむチーズで、「非熟成タイプ」とも言われます。
水分が多くてやわらかく、ほのかな酸味やミルクの優しい甘みが感じられます。
「カッテージ」、「マスカルポーネ」、「モッツアレラ」、「リコッタ」などがこのタイプです。
水分量が多く、傷みやすいので、保存するときは冷蔵庫内のなるべく温度の低い場所に入れ、早めに食べきるようにしましょう。

■白カビタイプ
表面に白カビを植えつけ(もしくは、自然繁殖させ)、乳酸菌とともに熟成させるチーズです。
熟成が進むにつれ、中がクリーム色になり、トロっとしてきます。
「カマンベール」がこのタイプに分類されます。
食べきらなかったときには、切り口をアルミホイルで押さえ、ぴっちりと全体をラップで包んでから冷蔵庫で保存すると乾燥せずにおいしい状態が保てます。

■青カビタイプ
内部に青カビを植えつけて乳酸菌とともに熟成させるチーズで、「ブルーチーズ」とも呼ばれています。
塩味が強く、特有の風味と刺激的な味わいをもつブルーチーズは、甘口のワインやドライフルーツなどと相性抜群です。
よくみかける、イタリアの「ゴルゴンゾーラ」と、フランスの「ロックフォール」、イギリスの「スティルトン」は、世界3大ブルーチーズとも。

ウォッシュタイプ
チーズ表面を塩水や地酒で何回も洗ったり、こすったりして内部を熟成させるチーズです。
この工程を行うことで、リネンス菌が繁殖し、独特な風味や色合いに仕上がります。
強いにおいが特徴で、冷蔵庫にそのまま入れておくとほかの食品ににおいが移ってしまうことも。
保存するときは、しっかりとラップで包み、ビニール袋などに入れておくのがおすすめです。
あまり聞きなじみがないかもしれませんが、「エポワス」「タレッジョ」などが有名です。

■セミハード/ハードタイプ
乳を凝乳酵素(レンネット)でかためたあと、圧縮して水分を取り除き、乳酸菌の力でゆっくり熟成させる硬質チーズです。
セミハードは1~6カ月程度、ハードは1~3年と、ほかのチーズと比べ、長期間熟成して作られます。
セミハードは、「ゴーダ」、「サムソー」、「マリボー」など、ハードは「パルミジャーノ・レッジャーノ」、「チェダー」、「ラクレット」、「エメンタール」などがあります。

■シェーブルタイプ
「シェーブル」はフランス語で山羊を意味します。
このタイプは、山羊乳で作られたチーズで、山羊特有の風味が特徴です。


【チーズの嬉しい効果】

チーズには、「たんぱく質」をはじめ、骨や歯を丈夫にするのに欠かせない「カルシウム」、皮膚や粘膜の健康を維持する「ビタミンA」、たんぱく質の合成を助け、発育を促す「ビタミンB2」、血液をつくるのに大切な働きをもつ「ビタミンB12」が多く含まれています。
さらに、ナチュラルチーズには、たんぱく質の一種「ラクトフェリン」が含まれ、抗菌・抗ウイルス作用や中性脂肪減少、腸内環境の改善などに効果が期待できます。
さらに嬉しいことに、チーズなどの発酵食品は、乳酸菌や酵素の働きによってこれらの栄養素の吸収がアップします。

【11月11日は「チーズの日」】

毎年、11月11日は「チーズの日」です。
皆さんはこの日がなぜ、チーズの日か知っていますか?
それは、今から1000年以上も前、飛鳥時代に書かれた「右官史記」という文献に記された一文に由来します。
そこには、「文武天皇4年(西暦700年)10月、天武天皇が使いをつかわし、「蘇(そ)」をつくらしむ」という記述があり、天武天皇が「蘇」と呼ばれる古代の日本で作られていたチーズのような食べ物を作るよう全国に発したとされています。
当時の10月は現在の11月にあたり、覚えやすいことから1992年にチーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会が11月11日をチーズの日に制定しました。

世界中でさまざまなチーズが作られており、香りや風味はすべて異なります。
今ではスーパーでも多くの種類が売られているので、自分好みのチーズを見つけてみてはいかがですか?

Text byまち/食育インストラクター