年齢を重ねるごとに気になってくる、「体臭」。
ひと口に「体臭」と言っても、さまざまな体の部位から発生しており、部位や年代によって「においの種類」が異なります。
今回は、体臭のメカニズムをはじめ、食事がもたらす体臭への影響に注目しました!
【「体臭」ってなに?】
体臭とは、一般的に汗のにおいを意味することが多く、そのにおいには個人差があります。
いろいろな雑菌と混ざり合って独特なにおいになることもあり、加齢臭も体臭のひとつと言えます。
【「時間の経過」がにおいを生む!】
においのもととなるのは、主に体から分泌される汗と皮脂、そして皮膚上の常在細菌です。
皮膚には2種類の汗腺(エクリン汗腺・アポクリン汗腺)と2種類の皮脂(皮脂腺から出る皮脂・角質層の中にある脂質)があり、それぞれが『においの材料』となります。
実は、汗や皮脂は分泌された直後はほぼ無臭です。
しかし、時間が経つにつれて汗が皮脂と混ざり合い、それらが細菌によって代謝・分解し、空気中の酸素によって酸化され、におい物質が発生します。
【性別は関係なく、年齢を重ねるに連れてにおいが強くなる!?】
加齢臭は40歳ころを境に強くなると考えられています。
一般的に“加齢臭=男性”というイメージを持たれがちですが、実際には男女差はありません。
脂を分泌する皮脂腺からは脂肪酸や過酸化脂質が分泌されますが、40歳ころからは体内の抗酸化力が弱まり、酸化が進みます。
脂肪酸や過酸化脂質が空気に触れて発酵すると、加齢臭のにおいのもとと言われる「ノネラール」という物質がつくられます。
このノネナールは皮脂となじみやすく、水では落としにくいため、通常のシャワーや石けんでは落としにくいという特徴があります。
【若い女性は甘いにおいがする!?】
とある製薬会社の研究によると、“若い女性は、桃やココナッツのような甘いにおいを放つ”というデータが出ました。
このにおいのもととなる「ラクトン」は、10代後半をピークに徐々に減っていき、それによって女性らしい香りが減っていくという事実をつき止めました。
【「加齢臭」と「食事」の関係】
加齢臭対策の商品が年々増えていますが、体臭に悩む日本人が増えてきた背景には『食の欧米化』があります。
食の欧米化が進んだことで、肉や乳製品などの動物性脂肪を含む食品を多く摂取するようになりました。
食事の変化によって、摂取する脂肪も排出する脂肪も増え、その結果、体臭が強くなったと考えられます。
日々の食事を見直して、脂質の摂り過ぎに気をつけることも予防のひとつです。
そのほか、酸化を抑制するビタミンA・C・Eを含む食品を摂るのもおすすめです。
体臭対策は、ある意味“大人のマナー”とも言えます。
日ごろから汗への対処に気を配ることが大切です。
暑い季節はシャワーを多用し、汗や脂をよく洗い流すようにしましょう。
消臭効果のある制汗剤などの活用もひとつの手です。
また、体のにおいは健康のバロメーターとも言われ、病気のサインや体調の変化を知ることもできます。
油臭いにおいは脂漏性皮膚炎が原因であることが多く、糖尿病になると糖の分解が進まないため、尿が甘酸っぱいにおいがする場合があります。
今までとは違う体臭を強く感じたら、かかりつけの医師に相談しましょう。
Text byろい/食育インストラクター