私たちは日々の食事でエネルギーや栄養素を摂取し、生命を維持したり、身体活動を行っています。
今回は、皮膚や粘膜、目の健康を保つ「ビタミンA」についてのお話です。
【ビタミンAってどんな栄養素?】
ビタミンAは、レチノール、レチナール、レチノイン酸の総称です。
皮膚や粘膜を健康に保つほか、目の機能維持、細胞の新陳代謝を上げて発育を促すなどの効果が期待できます。
ビタミンAは脂溶性のビタミンで、油脂と一緒に摂ると体内での吸収率がアップします。
【どんな食べ物に多く含まれているの?】
ビタミンAは、レチノールとして食品に含まれるほか、ビタミンAの前駆体であるプロビタミンAとしても摂取可能です。
プロビタミンAとは、主に体内でビタミンAに変換される物質の総称です。
人参やかぼちゃに豊富なβ-カロテンも、プロビタミンAの一種です。
ビタミンAはレバー、うなぎ、卵、緑黄色野菜などに多く含まれています。
【ビタミンAの不足や過剰摂取で、体にどんな変化が起こるの?】
ビタミンAが不足すると、暗いところで目が見えなくなる“とり目”と呼ばれる欠乏症が起こることが知られています。
現在の日本ではほとんどみられませんが、栄養状態がよくない発展途上国において、子どもたちが失明する重大な原因になっています。
そのほか、皮膚および粘膜の乾燥や角質化などが生じるため、細菌やウイルスに対する抵抗力が弱まって感染症にかかりやすくなります。
一方、摂り過ぎは、肝臓に貯蔵されて肝障害などの副作用を起こす可能性があると言われています。
普通の食事からは摂り過ぎる心配はありませんが、サプリメントやビタミン剤を摂取している場合は用法・用量をきちんと守りましょう。
特に、妊娠期または妊娠を希望する女性の過剰摂取は、胎児への悪影響が報告されていることから、摂り過ぎないようにご注意ください。
【自分に必要なビタミンAの量はどれくらい?】
厚生労働省が定めている「日本人の食事摂取基準」は、日本人の1日に必要なエネルギーや栄養素量を示した基準です。
食事摂取基準は、年齢と性別に応じて必要量が定まっています。
ビタミンAは、以下のようになっています。
※1歳未満については推奨量ではなく、目安量です。
妊婦、授乳婦では耐容上限量の掲載がありませんが、耐容上限量がないということではありません。
通常時の耐容上限量を参考に、過剰摂取にならないよう注意しましょう。
30~49歳女性の推奨量は700μgRAE/日となっていますが、これは何をどれくらい食べたら満たせるのでしょうか?ビタミンAを多く含む食材を例に挙げると、以下のようになります。
- 卵 1個→107μgRAE
- 人参 中約1/2本(60g)→414μgRAE
- かぼちゃ 60g→198μgRAE
これらをすべて食べると、30~49歳女性の推奨量を満たすことができます。
ちなみに、豚レバー10gには1300μgRAE、うなぎ約1/2尾(75g)には1800μgRAEものビタミンAが含まれていて、これだけで推奨量を満たせるほど豊富に含まれています。
どちらもおいしいからといって、食べ過ぎないように注意しましょうね。
あくまで、今回ご紹介したものは一例です。
皆さんも、いろいろな食材を組み合わせて推奨量のビタミンAが摂れるよう、工夫してみてくださいね☆
Text byろい/食育インストラクター