今や私たちの生活に欠かせない存在となったスマートフォン。
今この文章を読んでいるのも、「スマホ、もしくはタブレットから」の方が多いのではないでしょうか?
ですが、便利な反面、気になるのが目へ負担をかけていること。
大人のみならず、小学生の視力も過去最低と言われています(「平成30年度学校保健統計調査」(文部科学省)より)。
下がった視力を回復させるために「ブルーベリーを食べるとよい」という説があるようですが、果たしてその効果は・・・?
【視力と目の健康のお話】
まず、視力というと思い浮かぶのが、健康診断で目にする「c」(正式名称はランドルト環といいます)かと思います。
最終的に記録された数値がおよそ1.0以上あれば、目に問題はないと考えるのが一般的でしょう。
しかし、この検査でわかる視力とは物を見る力を示すもので、目が健康と言えるかは別問題です。
視力がよい方でも目の病気にかかることは十分にあり得るので、目の調子が普段と違うなと感じたら眼科で診てもらうことが大事です。
【視力とブルーベリー】
さて、今回の本題であるブルーベリーに話を戻しましょう。
目によい食べものと聞けば、多くの方がブルーベリーを思い浮かべるほどにイメージが定着していますが、それは本当なのでしょうか?
戦中、ブルーベリージャムを食べていたイギリス空軍のパイロットが、「暗いところでも物がよく見えた」と証言したことをきっかけに、ブルーベリーと視力に関する研究が始まった、という話が有名です。
この逸話の真偽は疑わしいとされているのですが、ブルーベリーが脚光を浴びるきっかけになったエピソードといえるでしょう。
その後、研究によって発見されたのが、ポリフェノールのアントシアニンです。
ブルーベリーが目によいいとされる理由として挙げられる成分のひとつで、名前を聞いたことがある方も多いと思います。
目の網膜の細胞には視覚に関わるロドプシンという物質が含まれます。
このロドプシンを生成するのに役立つのがアントシアニンなのですね。
ブルーベリーにはアントシアニンのほかに、ロドプシンの生成に関わるビタミンA(正しくは、身体の中でビタミンAに変化するβ‐カロテン)や、血行促進に働くビタミンEなどが含まれています。
これらの栄養素を摂ると、疲れ目の予防・改善に効果が期待できるので、ブルーベリーは目によい食べ物と言ってよさそうですが・・・。
しかし、ブルーベリーを食べたから視力回復につながったと結論づける研究はいまだに無いのが現状です(※2020年04月時点)。
「ブルーベリーを食べると視力の回復に繋がる」と「ブルーベリーに目の健康に役立つ栄養素が含まれている」は、まったく別の話なので、一緒に考えてしまわないように注意しましょう。
つまり、「視力が落ちてきたからブルーベリーを食べなきゃ!」と大量に摂取するのはNGです。
ブルーベリーは果物なので糖質が多く、極端な食べ方をすれば栄養の偏りを引き起こしてしまいますし、アントシアニンはブルーベリー固有の栄養素ではありません(なすやぶどうの皮など、さまざまなものに含まれています)。
薬とは違い、食べてすぐ眼の状態が改善するようなことは無いと考えた方がよいでしょう。
あくまでも、ブルーベリーは果物のひとつです。
たとえば「普段目を酷使しているから、食後のデザートにはブルーベリーを入れたヨーグルトにして、今日は早めに寝るようにしよう」といった具合に、目のケアの一環として、少量ずつ食べる程度がほどよい付き合い方といえそうです。
ブルーベリーは冷凍品なら一年中手に入りますし、アントシアニンやビタミンA・Eは冷凍しても失われにくい栄養素なので、食べたいときにさっと摘まめるフルーツとしても役立ちますよ☆
Text by はむこ/食育インストラクター