風邪を引いていなくても、真冬は乾燥した冷たい空気によって喉が傷む季節です。
細菌やウイルスが体内に侵入しやすい状態なので、そのまま放っておくのはリスクが高いですよね。
今回はそんな喉のケアに役立つ、大根についてのお話です。
【酵素の力は絶大!?】
昔から、大根は食あたりしない食べ物だと言われていました。
これは食中毒菌を殺菌するという意味ではなく、薬膳の考え方に、大根は気の流れをよくする働きがあり、消化を助ける力があるとされるのが影響しているようです。
とはいえ、この考え方は迷信ではありません。
大根の持つジアスターゼという酵素がでんぷん質の消化を助ける働きがあるのです。
ちゃんと根拠があるのですね。
そして、大根はジアスターゼのほかに、アリルイソチアシオネートという消炎作用のある成分を持ちます。
喉が痛い・イガイガするのは、何らかの原因で喉の粘膜が炎症を起こしているからです。
そのため、大根を食べると喉の調子を整える手助けをしてくれるのですね。
アリルイソチアシオネートは塊の状態よりも、すりおろした方が消化・吸収しやすくなるため、乾燥する今の季節は、意識して大根おろしを使ったレシピを意識して食べるように心がけるとよいですね。
旬の野菜なので安価でおいしいのも嬉しいところです☆
【加熱に注意!】
大根おろしを使う料理はたくさんあるから、毎日食べても食べ飽きない自信がある方も大勢いらっしゃると思います。
しかし、おいしく食べるためではなく、喉の調子をよくするために大根おろしを食べる場合は、注意が必要です。
なぜなら、ジアスターゼとアリルイソチアシオネートは加熱すると効果が弱まってしまうからです。
アリルイソチアシオネートは辛味の成分です。
しっかり加熱してほんのり甘くなった大根はとてもおいしいですが、
そのときには効果がほとんど無くなってしまうのですね…。
効果が失われる温度帯にならなければ大丈夫ですが、調理中の温度の変化を正確に見極めるのは至難の業。
温度計を使用して、常に温度変化をチェックしながら調理するのは非現実的な工程だと思います。
そこまで手をかけるくらいなら、効果を得られるのは生の状態。と覚えておいて、焼き魚のあしらいにしたり、ポン酢だれに加えて、こまめ使いにした方が簡単ですね。
ジアスターゼで消化を助けて栄養をとりやすくし、アリルイソチオシアネートが喉の炎症を抑える。
大根はまさに、風邪の引きはじめにピッタリな食べ物といえるでしょう☆
【はちみつとセットな理由】
おばあちゃんの知恵、として知られているはちみつの大根漬け。
市販薬を飲めない妊娠中に喉の違和感があるときなど、現代でも大活躍する食品です。
大根が喉によい理由は先に述べたばかりですが、「なぜ砂糖ではなくはちみつに漬けるのか?」と疑問に思われたことはありませんか?
砂糖の精製技術が無い時代ならともかく、現代では砂糖(上白糖)の方が安価なので、コストを考えれば、砂糖の方がお得ですよね。
実は、はちみつの方が砂糖よりも喉によいと明確に言える科学的根拠はまだ無いそうです。
ただし、薬膳では、はちみつは喉を潤し、咳を鎮める効果があると考えられている食品なので、大根と組み合わせて食べるのは効率的と言えます。
最終的には味やコストを考慮して、ご自身の好みで決めていただいてよさそうですね。
おいしい冬の味覚である大根。
喉の調子が悪いなと思ったら、たっぷりの大根おろしを召し上がって、早めにケアするのがおすすめですよ☆
Text byはむこ/食育インストラクター