気分が落ち込んだときや、イライラしてしまったとき…
日常生活で嫌な気持ちになるタイミングは誰にでもありますよね。
そんなときに何か食べると、さっきは過敏になりすぎたな…と自分を見つめ直した経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は食事と気持ちの関係についてのお話です。
【お腹が空くとイライラする、はあたり前】
人間の体の中で、ものを考えるために使われるのが脳です。
脳が必要とするエネルギーは体の中で消費されているエネルギーの20%ほどを占めています。
さらに、脳にはエネルギーを貯めておく機能がないので、エネルギー源となる糖質(ブドウ糖)が足りなくなると、すぐに体中にSOSを出して糖質を補給しようとします。
これが「お腹が空いた」のメカニズムです。
しかし、それでも糖質が補給されない状態、例えば、忙しくて食事をとる暇もなかったら…?
エネルギー不足の脳は満足なパフォーマンスを発揮することができません。
脳は感情のコントロールも行うので、お腹が減ることで感情のコントロールがうまくいがず、感情的になり、イライラしやすくなります。
しかし、自分の状態を言葉にすることができない乳幼児でもなければ、お腹がすいたからといって、周りにあたり散らしていいものではありません。
空腹時には重大な考えごとや決断を避けたり・忙しいときでもさっと口に含める飴など、ちょっとしたものを用意しておくなど、自己管理で行える対処法を活用したいですね。
【お腹いっぱいなのに落ち着かない、イライラする?】
「きちんとご飯を食べているのにイライラする。これはもはや自分の性格が悪いだけなのかも?」
脳のエネルギー源が糖質なのは事実です。
しかし、糖質を脳に届けるためには体内で糖質を吸収しやすい形に変える=代謝が行われます。
この働きには糖質と別の栄養素が必要になるので、これらが不足しているとせっかく摂った糖質を無駄にしているかもしれません。
代謝に関わる栄養素はたくさんありますが、中でも重要なのはビタミンB群です。
糖質の代謝のほかにもセロトニンやギャバなど、精神的な疲労回復に役立つ成分や、幸福感・気分を高揚させるドーパミンの分泌に必要な栄養素なので、不足しないように注意したいですね。
ビタミンB群は種類が多く(ビタミンB1・B2・B6・B12・ナイアシン・パントテン酸・葉酸・ビオチンの8種)、一品で全てを補う食品を無理に食べようとせず、穀類・肉(魚)類・野菜類など、いろいろな食品を少しずつ食べながら摂ることを習慣づけた方がよいでしょう。
イライラがおさまらないときは、食事に偏りがないかをチェックしてみてください。
また、間食には砂糖をたくさん使った甘いお菓子が食べたくなるかもしれません。
しかし、糖質や脂質が多いお菓子のなかには、ほかの栄養素を補給しづらいものがあります。
お菓子ばかりを食べる機会を減らして、セロトニン生成に関わるビタミンB6を含むバナナや、葉酸や抗ストレスホルモンをつくるビタミンCの多いいちごなどのフルーツに変えるのも、イライラ予防に効果的です。
勤務先などでフレッシュフルーツを用意しにくいという場合は、アーモンドなどの種実類や、ごまがおすすめです。
これらはそれぞれビタミンB群(ごまはビタミンB1・アーモンドはビタミンB2)を含むので、ちょっとした間食のときにおいしく補給できるのがよいですね。
感情のコントロールは大人になっても意外と難しいものですが、それとうまく付き合っていくのが大切です。
食べ物だけではどうにもならないケース(病気やケガによる不調)もありますが、自分の食事のリズムや内容を把握しておくことは、イライラを予防し、落ち着いて行動するために必要なので覚えておきたいですね☆
Text byはむこ/食育インストラクター