おいしく対策しよう! 風邪予防野菜、にんじん!

健康な生活に欠かせない免疫力という言葉ですが、今年は特に強く意識した方が多いと思います。
免疫は人間の体の機能ですが、仕組みは完全に解明されていません。
しかし、食べ物と関わる部分は多いようです。
まもなく風邪が流行する季節。
今回はそんな免疫力を高める(可能性のある)野菜の中から、旬を迎えるにんじんについてのお話です。

【風邪予防に関わる栄養素

健康維持に必要という意味では、すべての栄養素が風邪予防に関わっているといっても過言ではありません。
簡単に実践できることではないかもしれませんが、「栄養バランスのよい食事をとりましょう!」といわれるのは、そのためです。
その前提の上で、風邪予防に役立つのが、以下の栄養素です。

ビタミン(β‐カロテン)
皮膚や粘膜の健康維持に働く栄養素です。
粘膜は風邪のウイルスへの最初の防衛線なので、粘膜が弱っていると風邪をひきやすくなります。
β‐カロテンは主に野菜に含まれ、体の中でビタミンAとして働いてくれます。
ビタミンAは多くとりすぎると過剰症の危険もありますが、β‐カロテンは体が必要とする分だけビタミンAに変わる特徴があります。
いいことづくしのようですが、β‐カロテン吸収率はあまり高くありません。
緑黄色野菜をたくさん食べるか、油脂と一緒に調理して吸収率を高めるなどの工夫が大切です。

●ビタミンC
白血球を活性化させて、体内に侵入したウイルスと戦う力を高めてくれます。
ストレスを受けると消費されるので、意識してとりたい栄養素です。
体の中に貯めておくことができないので、一度にたくさんとるのではなく、食事ごとにきちんととった方が効率的です。

ビタミンA(β‐カロテン)とビタミンCは一緒にとると相乗効果が得られ、効果が高まります。
風邪対策にはどちらか一方だけではなく、両方をバランスよくとりたいですね☆
今回ご紹介するにんじんは、β‐カロテン量がダントツな野菜です。
旬のにんじんは特に甘くなるので食べやすいのも魅力です。
ビタミンCが豊富な食品(同じく旬を迎えるものでは、ほうれん草やみかんがあります)と相性がよいですよ☆


【昔はにんじんへの誤解もありました】

生のにんじんに含まれる酵素のアスコルビナーゼがビタミンCを壊してしまうので、ビタミンCが含まれている食品と一緒に食べてはいけない。食べるなら加熱すること。
実は少し前まで、そんな風に言われることもありました。
しかし、にんじんにも少量ながらビタミンCが含まれています。
そして、後の研究でアスコルビナーゼはビタミンCを破壊しているわけではないことがわかりました。
実際には酸化されているのですが、酸化されたビタミンCでも体内に入れば利用できるため、生のにんじんとほかの野菜や果物(ビタミンCの多い食品)を一緒に食べても問題ありません。
加熱して甘くなったにんじんも魅力的ですが、生のにんじんを細く切ってシャキシャキの歯ごたえも楽しむサラダにするのもよいですね☆

ちなみに、にんじんで栄養価が高いのは、皮の部分です。
特にβ‐カロテンは中心部の2倍以上含まれているので、風邪予防なら使わない手はありませんよね!
収穫時に洗浄され、外側の皮は削られています。
店頭に並んでいる土のついていないにんじんなら、皮はむかずに調理するか、気になる場合でもなるべく薄くむくようにするとよいですよ。

残念ながら、にんじんを食べれば「風邪や感染症にかからない!」というものではありません。
しかし、これからの季節に旬を迎えるにんじんは、安く・おいしく・栄養もたっぷりで、健康を助けてくれる野菜です。
おいしく食べながら、風邪予防に役立ててあげてくださいませ☆

Text by はむこ/食育インストラクター