皆さんは、ふとした時に膝や肩などの関節がズキッと痛んだという経験はありますか?
今回は、早く解消したい「関節の痛み」の原因やおすすめの栄養素をご紹介します。
【関節の痛みの原因とは】
「関節が痛い」という症状が出たときは、痛みの原因は関節周囲にあると考えてしまいがちです。
しかし、「節々が痛い」という表現もあるように、関節痛はインフルエンザなどの感染症でも生じうる症状であることが分かります。
つまり、一言に「関節痛」と言っても、その原因は数多く存在するのです。
<関節痛の原因は病気の可能性も…>
今回は、代表的な関節痛の原因となる病気をご紹介します。
●関節にだけ症状が出ている場合
・肩関節周囲炎
一般的に「四十肩」や「五十肩」と呼ばれる疾患です。
加齢にともなって、肩関節とその周辺部位に長期的な炎症が起きることがあります。
その結果、腕を上にあげたり、腕を後ろに回したりする際に痛みが生じ、それ以上動かすことができなくなってしまいます。
●変形性股関節症
変形性股関節症の患者さんの多くは女性ですが、その多くが幼少期に股関節の形成がうまくいかなかったことなどが背景にあると考えられています。
それに加え、加齢や肥満などにより股関節に過剰な負荷がかかった結果、関節と関節の間に存在する軟骨が擦り減ってしまいます。
この軟骨はクッションの役割をしているので、このクッションが薄くなる、あるいは無くなってしまうと、骨同士が接触して痛みが生じます。
●関節の腫れや痛みに加え、発熱などの症状が見られる場合
・関節リウマチ
関節リウマチは、免疫の異常が原因となって起こります。
関節にある、「滑膜」という組織の細胞に炎症が及んだ結果、関節痛を生じたり、関節が変形してしまったりすることがあります。
あちこちの関節の痛みに加え、微熱や食欲減少、倦怠感などの症状がみられます。
・痛風
アルコールや肉などに含まれるプリン体の過剰摂取、あるいは腎臓の機能に障害が起こると、血液中に尿酸という物質が増加します。この状態が続くと、やがて尿酸は血液中に溶けきれなくなり、関節周囲にある関節液に蓄積してきます。
こうして関節液に溜まった尿酸はやがて「尿酸結晶」という結晶を作り、これが痛風の原因となって関節痛(特に足の親指の付け根の痛み)や発熱などの症状を引き起こします。
関節痛は、激しい痛みがともなうと日常の動作が制限されてしまうため、違和感がある場合は早めに医療機関で診てもらいましょう。
【関節の健康のためにおすすめの栄養素】
上記でご紹介した関節痛の原因となり得る病気のなかには、予防が難しいものもあります。
しかし、日常生活や食事を見直すことでリスクを減らしたり、痛みを緩和することは可能です。
今回は、おすすめの栄養素の一部をご紹介します。
●カルシウム
カルシウムは強い歯や骨をつくるだけでなく、筋肉の収縮や神経を安定させる働きもあります。
<カルシウムが多く含まれる食品>
牛乳や乳製品、小魚や干しえび、ひじき、大豆製品、小松菜やモロヘイヤ、大根の葉など
カルシウムの吸収率は食品によって大きく異なり、牛乳や乳製品は約40%、小魚は約30%、青菜は約18%です。カルシウムは吸収しにくい栄養素のひとつなので、吸収を助けてくれる栄養素も一緒に摂るのがおすすめです。
●ビタミンD
カルシウムの吸収や骨の成長を促進するほか、血中カルシウム濃度を調節する働きがあり、健康な骨を維持するために欠かせません。
日光を浴びると、私たちの体内でもある程度つくり出すことができます。
しかし、高齢になるにつれ生成自体が難しくなるので、食事からの摂取がより重要になります。
<ビタミンDが多く含まれる食品>
魚介類や卵黄、きのこ類
●ビタミンK
ビタミンD同様、カルシウム沈着を促す働きがあり、骨の健康維持に役立ちます。
<ビタミンKが多く含まれる食品>
納豆、のり、おかひじき、春菊
●たんぱく質
たんぱく質は糖質・脂質と並ぶ三大栄養素のひとつで、健康な体づくりには欠かせない重要な栄養素です。
<たんぱく質が多く含まれる食品>
肉や魚、卵、大豆や大豆製品、牛乳や乳製品
いかがでしたか?
関節に痛みや違和感があると、つい体を動かすことに消極的になりがちです。
しかし、身体を動かさないと筋肉が衰えて姿勢が悪くなったり、関節の可動域が狭まってさらに動かしにくくなったりと、悪循環を招く場合もあります。
関節痛へのアプローチの第一歩として、食事と適度な運動を意識してみてくださいね。
Text by ろい/食育インストラクター