今回は調理の中でも、「茹でる」作業についてのコツをご紹介させていただきます☆
【茹でる目的はなんだろう】
- 組織をやわらかくする
- たんぱく質を凝固させる
- 緑黄色野菜の色を鮮やかにする
- でんぷんのα化
- 魚、肉などの脂抜き
卵や枝豆など、茹でるだけで食べられるものもありますが、さまざまな下調理としての役割をもっていることが分かります。
【茹でるときに加えるアレの効果】
●塩
緑黄色野菜のクロロフィル(葉緑素)を安定させて緑色を鮮やかにし、卵や魚、肉類のたんぱく質を凝固させる効果があります。
●酢
れんこんやごぼうなどのフラボノイド色素を白くするとともに、れんこんのたんぱく質を凝固させてシャキッとした歯ごたえにする効果があります。
茹であがったらすぐに冷水に取り、冷めるまで水にさらして酢臭を抜きます。
●重曹
わらびやぜんまい、よもぎなど、繊維が発達して、アクの強い山菜類は重曹を使ってアク抜きをします。
重曹はアルカリ性で、繊維をやわらかくする働きがあり、さらに緑色を保つ作用があります。
●米ぬか
たけのこのように、えぐみやアクがあり、やわらかく茹でるのに時間がかかるものは米ぬかを加えて茹でます。
水量の約1割の米ぬかを加え、たっぷりの湯で、落としブタをして茹でます。
茹であがったら、火からおろしてそのまま一晩おき、皮をむいて十分水にさらしてアクとぬか臭を抜きましょう。
【素材によって変わるポイント】
●青菜
青菜などの緑黄色野菜を色よく茹でるには、グラグラと沸騰した、たっぷりの湯に塩を加え、フタをしないで茹でましょう。
茹であがったら手早く冷水に取り、急激に冷まします。
高温で短時間加熱するのがポイントです。
たっぷりの湯で温度が下がるのを防ぎ、短時間で火を入れ、すばやく冷やすことで色よく仕上がります。
長時間茹でると、青菜の色素であるクロロフィルが熱によって壊れてしまい、色が悪くなってしまうのです。
ただし、水に長く浸けすぎると、アクが抜けすぎて風味やうまみが抜けてしまうので、冷めたらザルにあげて水気を切り、場合によっては絞りましょう。
●淡色野菜
キャベツや白菜のように、色みやアクのことを心配しなくてもよい野菜を茹でるときは、湯の量は野菜が浸るくらいでかまいません。
また、湯の0.5%の塩を入れ、フタをして茹でると口当たりがソフトに仕上がります。
やわらかくなったら、水にとらずにそのままザルに上げて水気を切ります。
水に取ると水っぽくなり、うまみも逃げてしまいます。
このことを「生上げ」(きあげ)、「陸上げ」(おかあげ)といいます。
緑色を生かしたいときは、うちわで扇いで冷ましましょう。
●肉
しゃぶしゃぶ肉など薄いものは、肉を加熱しすぎないように、表面の色が変わったらすぐに引き上げます。
おだやかな沸騰状態の湯で、サッと火を通すことでやわらかく仕上がります。
今の季節にピッタリの冷しゃぶをやわらかく仕上げるには、いくつかのポイントがあります!
肉は赤身が多いものを選び、沸騰した湯(100℃)に同量の水を加えた中(50℃前後)に肉を入れて、箸でかき混ぜてほぐします。
ほぐれたら強火にして、沸騰するまで触らずに待ちます。
肉のタンパク質が固まりはじめる温度は60℃くらいからなので、50℃前後の湯の中でゆっくりと火を入れてゆきます。
また、低い温度帯のため、かき混ぜているとアクが溶け出してしまうので、触らずにジッと待ちましょう。
そして氷水ではなく(脂が急激に凝固してしまう)、常温の水にとり、粗熱をとってから冷蔵庫で冷やすことで、とってもやわらかく、おいしい冷しゃぶに仕上がります。
かたまり肉の場合は、高温で短時間だと、中まで火が通らないため、フツフツと煮立つ程度の火加減で40~50分茹でます。
ゆで豚や焼豚などは、タコ糸で肉をしばりますよね。
それは、均一に火が通るよう太さをそろえるため、また煮崩れ防止、かたまり肉の形をきれいに保つ効果もあるのです。
今回は野菜や肉についての茹でるポイントをご紹介させていただきました。
また、湯に加える材料にも、意味があって使われていることが分かります。
調理のコツを少しでもつかんでいただけたら幸いです。
Text by ナナちゃん/食育インストラクター