山芋にはさまざまな種類がありますが、旬は秋から春にかけてになります。
今回は、調理によって食感が大きく変わる「山芋」の魅力に迫ります☆
【山芋ってどんな食材?】
山芋は、ヤマノイモ科に属する芋類の総称です。
山芋の種類は山野に自生する自然薯(じねんじょ)と、栽培種の長芋・大和芋・つくね芋などがあります。
●自然薯
長さは60cm~1mほどで、細長く成長します。
天然物は粘りがとても強く、コクやうま味をしっかり感じられます。
しかし、収穫までに3~4年かかることや、まっすぐではなく曲がっていたりするので掘り出すのが難しいことから、市場に出回っているものの大半は栽培物です。
●長芋
棒状で、長いものは1mにもなります。
1年で生育するので1年芋とも呼ばれ、全国的に栽培されています。
水気が多く粘りが少ないため、すりおろさずに細く切るとサクサクとした食感がいかせます☆
●大和芋(いちょう芋)
いちょう形、手の平形などさまざまな形がありますが、いずれも扁平な形をしています。
なめらかで粘りが強く、とろろにするのに向いています。
関西で出回ることが多い品種です。
●つくね芋
ゴツゴツとしたこぶしの形をしています。
山芋の中で最も粘り気が強く、和菓子の原料や、かまぼこなどの練り物のつなぎにも使われます。
どの種類も滋養強壮作用があり、中国では「山の薬」、日本では「山のうなぎ」と言われ、古くから漢方薬としても利用されてきました。
【どんな栄養があるの?】
形や種類がさまざまな山芋ですが、いったいどんな栄養があるのでしょうか?
今回は注目の栄養素を一部ご紹介していきます。
●カリウム
余分なナトリウムを排出し、高血圧やむくみの予防・改善に働きます。
●アルギニン
アミノ酸の一種で、成長ホルモンの分泌を促進し、筋肉組織を強くしたり、免疫力を高める効果があります。
●アミラーゼ
でんぷんを分解する消化酵素で、消化吸収をサポートしてくれます。
熱に弱いのでアミラーゼの効果を得たい場合は加熱せず、すりおろして“とろろ”として食べましょう☆
【山芋は、ほかの芋類とここが違う!】
山芋には、じゃが芋やさつま芋などにはない特徴があります。
それは…「生で食べられる」ということ!
でんぷんは加熱せずに食べると消化吸収が悪く、下痢を引き起こす可能性があるので、でんぷんを多量に含む芋類を生で食べることはありません。
しかし、山芋は先ほどご紹介したアミラーゼを多く含んでいるため、芋類の中で唯一生食が可能です。
加熱せず、すりおろして細胞を壊すことでアミラーゼの効果が高まります。
とろろは、山芋の消化酵素を活性化させる、とても合理な食べ方と言えますね♪
【手や口が痒い…!これってどうして?】
すりおろしたり食べるときに、手や口元に触れると痒くなることがありますが、これは山芋の皮の近くに含まれるシュウ酸カルシウムによるものです。
シュウ酸カルシウムの針状の尖った結晶が皮膚に刺さる事で、痒く感じます。
酸に弱いという特徴があり、酢水やレモン水で洗い流すと緩和されます☆
※山芋はアレルギーの原因食材と考えられており、特定原材料(卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに)に準ずるものとして表示が推奨されています。
平成20年度の厚生労働省の調査によると、山芋のアレルギー発症は全体の0.6%と少なめではありますが、のどがイガイガする・痒いなど、体に異変を感じ症状が緩和しないようであれば、病院に行くことをおすすめします。
【色んな調理法で楽しもう☆】
山芋は切り方や調理法で、ネバネバ・ふわふわ・ホクホク・シャキシャキといった食感が楽しめます♪
『ネバネバ』を楽しみたいとき
→すりおろして“とろろ”にする
『ふわふわ』を楽しみたいとき
→すりおろして、卵などと混ぜ合わせて焼く・揚げる
『ホクホク』を楽しみたいとき
→繊維を断つように輪切りにし、煮る・焼く・揚げる
『シャキシャキ』を楽しみたいとき
→繊維に沿って縦切りにする
ひとつの食材で、こんなにも食感が変わるのは面白いですよね!
皆さんもぜひお試しください♪
【おすすめの保存法】
新聞紙に包んで、風通しのよい所や冷暗所に置くと、比較的長く保存できます。
また、少し湿らせたおがくずや土に埋めると、より長期保存できます。
切ったものは切り口から水分が失われ変色していくので、切り口にラップをして冷蔵庫で保存し、早めに使い切りましょう。
すりおろしたものや千切りしたものは、冷凍保存が可能です☆
とろろは薄く伸ばして冷凍すると、必要な分だけパキッと折って使えるので便利ですよ♪
味にクセが無く、小さなお子さんからご高齢の方まで食べやすい「山芋」。
おいしくなるこれからの時期、ぜひ召し上がってみてはいかがでしょうか?
Text by ろい/食育インストラクター