ふきのとうやたらの芽、わらび、うどなど、春になると苦みが多い食材が出回ります。
その中でも、今回はシャキシャキとした食感と独特の香りが魅力の「うど」についてのお話しです。
【「軟白うど」と「山うど」の違い】
日本では古くから食べられ、江戸時代には現在流通している軟化うどが栽培されていたと言われているうどは、全体が白い「軟白うど」と、緑色の「山うど」の2種類に分けられます。
スーパーなどでよく見かけるのは軟白うどで、地下の室(むろ)で日に当てず育てられるため、全体が白くなります。
また、山うどは本来、山野で自生しているもののことを言いますが、収穫量が少なく、ほとんど流通することがないようです。
そのため、店頭で売られているものは、軟化栽培したうどに後から光を当てて緑色をつけたものを「山うど」としています。
【「軟白うど」と「山うど」の栄養成分】
軟白うどは、カリウムやカルシウム、食物繊維などが含まれていますが、栄養素は低めです。
しかし、その中でも豊富に含まれている成分が「アスパラギン酸」で、新陳代謝を高め、疲労回復効果が期待できます。
また、うど特有の香りは「ジテルペンアルデヒド」と呼ばれる有効成分によるもので、自律神経を調整し、気分を安定させる作用があると言われています。
山うどは軟白うどに比べ、香りや風味、アクやえぐみが強いのが特徴です。
そのアクの成分であるポリフェノールの一種「クロロゲン酸」は生活習慣病予防に役立ち、がん予防にも有効であるとされています。
【うどの見分け方と調理のコツ】
表面に産毛がびっしりとついていて、触るとチクッとするくらいのものが新鮮です。
また、穂先が開ききっていないものを選びましょう。
山うどは、赤い線がはっきりと出ているものが新鮮である目印になります。
うどは日に当てるとかたくなりやすいので新聞紙などで包み、冷暗所で保存します。
調理する際には、皮の周りに強いアクがあるので、皮を厚めにむくのがポイントです。
切ったらすぐに酢水に浸けることで、切り口が変色するのを防ぎます。
厚めにむいた皮はきんぴらにするとアクも気にならず、おいしく頂けます。
酢の物やサラダ、吸い物、穂先は天ぷらにするのがおすすめです。
【ちょっとしたマメ知識「うど」と「独活」の由来】
うどを漢字で書くと「独活」と書くのをご存知ですか?
諸説ありますが、うどの名前の由来は、風がないのに動くようにみえるので「うごく」と呼ばれ、次第に「うど」と呼ばれるようになりました。
漢字で書く独活も「独りで活動する」ということからきているようです。
旬のこの季節にしかほとんど手に入らないうど。
ぜひ今晩のおかずの1品に加えてみてはいかがですか?
Text by まち/食育インストラクター