土用の丑の日にうなぎを食べる。
この習慣が広まったのは江戸時代も後期に差し掛かってからのことです。
普段は高くて食べられないけれど、この日だけは特別に…。
そんなうなぎの謎に迫ります!
【土用の丑の日ってそもそもなに?】
今年は土曜日(7月27日)に土用の丑の日を迎えるので紛らわしいのですが、土用の丑の日と土曜日とは何の関係もありません。
正確には立春・立夏・立秋・立冬、それらの前から18日の期間を指すのが土用。
その期間の丑の日を指します。
つまり、一年の内に土用の丑の日は4回以上(期間内に丑の日が2回くる年もあるので)あるのです。
しかも、うなぎの本当の旬は秋から冬にかけてです。
土用の丑の日の中では、立冬あたりが一番よい季節ということになるのですが…なぜ、夏とうなぎが結びついたのでしょう?
鍵になるのは夏バテです。
夏バテで食が細り、痩せてしまったときにはうなぎを食べなよという意味合いの和歌が万葉集で詠まれているため、夏バテにはうなぎ!というイメージそのものは千年以上前からあったようです。
こういった下地があったところに、江戸時代後期に土用の丑の日とうなぎを結びつけるキャッチコピーを平賀源内が考えたら大当たり!そんな歴史があるようです。
夏バテに関係するうなぎの話にはもうひとつ、「うなぎと梅干しを一緒に食べると身体に悪い!」という迷信があります。
なんの根拠もないどころか、梅干しが胃酸の分泌を促すので消化がよくなるプラスの組み合わせなのに、なぜこう言われるようになってしまったのか?
諸説ありますが、消化が良くなることでもっと食べたくなってしまうので、食べ過ぎを防ぐ目的だったのではと言われています。
なんにせよ、ビタミンB1を含むうなぎと、クエン酸が豊富な梅干しは夏バテ予防にピッタリの組み合わせなので、夏の土用の丑の日に試してみてはいかがでしょう?
【うなぎがかたい!?どうしよう?】
せめて土用の丑の日くらい、と思って買ったうなぎのかば焼きがかたかった!?
誰しもそんな目にあいたくないと思いますが、そういううなぎにあたってしまう可能性も捨てきれません。
出汁をとってひつまぶし風にすればよいのかもしれませんが、まさにいま食べようと思っていたところで食べられない上に、出汁や具を一から用意するのはちょっとストレスを感じてしまうものですよね。
そんなときは、フライパンにのせて酒をさっと振ってから蓋をして蒸し焼きにすると、かたさが緩和されます!
酒を振ってから電子レンジで加熱してもよいですが、全体をふんわり仕上げるなら、フライパンの方がおススメです。
【うなぎって高くない?問題】
和の食材の中でも、うなぎや松茸はすぐ思い浮かぶ高級品ですが、松茸料理屋さんはあまり見かけなくとも、うなぎ料理屋さんはたくさん見かけますよね(収穫時期が限られているので同じ条件ではありませんが)。
専門料理店があちこちに点在する程度には、昔の日本でうなぎは高級とはいえメジャーな存在だったのですね。
今では、一年のうちにうなぎを食べるのは土用の丑の日くらい…そんな方も珍しくなくなりました。
食の欧米化が進んだことも無関係ではないのでしょうが、それよりも大きな問題は二ホンウナギやヨーロッパウナギが絶滅危惧種に指定されるなどの深刻な状態と、それにともなう天然うなぎの価格高騰が毎年のようにニュース欄をにぎわせていることでしょう。
密漁などの話題も目にする状況なので買い控えた方がよいとする意見もあるほどです。
うなぎは未だに詳しい生態が明らかになっておらず、専門家の間でも漁獲に関する意見が割れるほどです。
現在、一般人の私たちがうなぎのために直接アプローチできることはほとんど無い状態ではありますが、河川や海洋の汚染は原因のひとつだと考えられているので、食品廃棄を少なくするよう努めたり、ゴミを分別して正しく廃棄したりといった、環境を守ることは意識して実践していくとよいですね。
最後はちょっと社会派な内容になりましたが、地球の食を考えるのも食育の三本柱のひとつ!
食育コラムとしては見逃せないお話です。
土用の丑の日にうなぎを召し上がる方は、まずは残さず食べてあげて下さいませ☆
Text by はむこ/食育インストラクター