「鱈」という漢字が示す通り冬が旬のタラは、あっさりとした味わいで鍋に合うお魚のひとつです。
でも、「鍋に一応入れておこう」という程度の「脇役」というイメージはありませんか?
実は、世界中で愛されている魚なのです。
【日本のタラ、世界のタラ】
タラ料理といえばタラチリ鍋が挙げられますが、白身より「タラコ」の方が身近な存在かもしれません。
でも、世界に目を向けると、生ではなく「干しダラ」として熱烈な愛され方をしているようです。
例えば、お隣の韓国では「プゴクッ」という水戻ししたタラの出汁を活かしたスープがあります。
ポルトガルでは、毎日違う干しダラ料理があると言われるほどよく食べるそうで、「干しダラとじゃがいもの卵とじ」、「クリームグラタン」が定番です。
イタリアの山間の地域ではフライとして食べたり、牛乳と煮てペースト状にしてバケットにぬって食べたりしているそうです。
なんと、北イタリアのある地域では信仰の対象とする人がいるくらいだとか。
このほか、トマト煮込みをノルウェーで食べていたり、フランスでは赤パプリカに詰めたりするなど、「干しダラ」は世界中で愛されている食材なのです。
実は日本でも「棒鱈」を使った料理があり、煮物として食べることが多いようです。
特に山形や京都などで伝統食として今でも親しまれています。
【注目したい栄養と食べ合わせ】
タラの主成分はたんぱく質です。
脂質が少なく低エネルギーなため、カロリー制限中の人に最適な魚です。ビタミン類では、ビタミンB群・D・Eなどを含みます。
ビタミンB群は健康な髪を維持するために、ビタミンEは血行をよくする働きをします。
ビタミンDは、体内でカルシウムやリンの吸収を促し骨や歯を丈夫にして、骨粗しょう症予防に役立つので、牛乳を加えたクリームシチューとして食べるのもよいでしょう。
このほか、やまいもと組み合わせて食べれば胃腸を丈夫にしたり、美肌効果が期待できます。
また、貧血予防や冷え性改善を目指して、ねぎやしょうが、にんにくなどと一緒に食べるのもおすすめです。
なお、たらこで注目したいのは体内でビタミンAとして働くレチノールで、口やのどの粘膜を丈夫にして風邪や感染症にかかりにくくしたり、肌がかさかさになるのを防いでくれる成分です。
このほかにも肝機能アップが期待できるタウリンも含まれているなど、一見、淡白な魚には隠れた魅力が詰まっています。
知れば知るほど味わいが深まるタラを旬の時期に楽しんではいかがでしょうか。
Text by ゆず/食育インストラクター