寒いこの季節にピッタリな「するめ」。
炙りたての香りがたまらないするめが、どうして「あたりめ」とも呼ばれるのか?
また、するめの意外な顔?!についてもお話させていただきます。
【縁起をかつぐ「あたりめ」】
するめの「する」は、博打でお金が無くなる意味の「擦る」や、財布やお金を盗む意味の「掏る」に通じ、縁起が悪いとされました。
そのため「当たり」に言い換えて、「あたりめ」と呼ばれるようになりました。
その他にも、「あたり鉢(すりばち)」、「あたり棒(すりこぎ)」、「あたりがね(すりがね)」も同じように言い換えられていますね。
【和食の世界では「あたる・あたり」をつかう】
和食の調理用語では、「あたる・あたり」という言葉で表現されることが多くあります。
すり鉢ですることを、あたると言い換えるのはもちろん、味をつける、味見をする、焦げつく、骨を抜く、ものが腐るなど、さまざまな場面で使われています。
ちなみに江戸前の鮨屋ではお勘定のことを「あたり」と呼ぶこともあるようです。
【結納で贈られる?!】
するめは「寿留女」という漢字があてられています。
するめが用いられる理由にはいくつか説があり、噛めば噛むほどに味がでることから、また、長期保存がきくことから「末永く幸せが続きますように」という意味がこめられているそうです。
お金を「お足」といい、足の多いスルメは縁起が良いとされる説もあります。
【土俵に埋められている?!】
大相撲の本場所初日の前日に、事故や災難に見舞われないように、何事もなく行われるようにと祈願する「土俵祭り」があります。
その中の「縁起物鎮め」と呼ばれる行事では、土俵の中央に穴を掘ってお神酒をそそぎ、するめ、勝栗、昆布、洗米、カヤの実が埋められます。
【するめは何のイカ?】
「するめ」というからには、スルメイカを使って作られています。
ただし、ケンサキイカを使ったするめが最高級とされ、一番するめと呼ばれており、スルメイカを原料としたものは二番するめと呼ばれています。
一番、二番はかつて中国への輸出品であった頃に等級として用いられたところからきています。
こうしてみてみると、いかにするめが縁起の良いもので、大切にされてきたのかが分かりますね。
炙りたてで、クルっと丸まったするめを、熱い!と言いながら割いて食べる楽しみがたまりません。
Text by ナナちゃん/食育インストラクター